【介護施設・現場支援コンサルタントに聞く】住宅型有料老人ホームでよくある疑問・質問は?
- 老人ホーム入居・転居と選び方
- 2022/03/31
住宅型有料老人ホームで生活全般や食事、施設設備・環境、契約・入居手続き(費用)関連などよくある疑問・質問について、介護施設・現場支援コンサルタントに回答いただきました。施設選びの際に参考にしてみてください。
当コラム内容について
住宅型有料老人ホームについて、具体的な疑問・質問をインタビュイーに回答頂きました。
以下でご紹介する内容によっては、住宅型有料老人ホームによって異なる内容もございます。1施設の事例としてご紹介となりますこと、ご理解の程よろしくお願い致します。
住宅型有料老人ホームでの生活全般について
住宅型有料老人ホームとはどんな施設ですか?
住宅型有料老人ホームは、有料老人ホームの一つ(他には健康型、介護付き)になります。介護保険法によって定められた様々な基準を満たしており、自立した方から医療ケアが必要な方までさまざまなニーズに対応しています。費用面や特徴はホームによって大きく異なりますが、生活援助や緊急時の対応といったサービスを受けることができて、レクリエーションなども楽しむことができます。
有料老人ホームは施設数が増加傾向にあり、その中でも住宅型有料老人ホームは施設数が多くなっています。サービスは食事や掃除といった生活支援や、外部のサービス事業者と契約をして介護サービスを受けることもできます。
多くの住宅型有料老人ホームでは、デイサービスまた訪問介護が同じ建物にあります。
※外部のデイサービス、訪問介護サービスを利用することもできます。
外泊はできますか?
はい、可能です。出発時や帰宅時には、体調のお変わりがないかなどスタッフがお声掛けしています。なお、お食事の手配などの関係上、事前に外泊の予定が決まっている場合には連絡されるとよいでしょう。
住宅型有料老人ホームでは、どのようなサービスを受けられますか?
住宅型有料老人ホームの特徴として、さまざまなサービスを自由に組み合わせて利用することができます。生活援助サービスとして、食事の提供や洗濯、掃除、見守り、生活相談があります。また、介護サービスは居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)を通して受けることができます。
施設に併設していることも多いので、スムーズに契約から利用まで進めることができるでしょう。
介護サービスについては、併設デイサービスや訪問介護を利用することもできますし、外部の事業所と契約し利用することができます。ご希望に沿って選択・相談されてみてはいかがでしょうか。
ペットを連れて入居することはできますか?
ペットと暮らせるホームも増えていますが、動物嫌いの人やアレルギーをもつ人がいるのも事実としてあります。そのため、居住の区分けやペット立ち入り禁止区域等を設けている場合があります。また、ペットとの入居はできませんが、ホーム独自のレクリエーション活動としてドックセラピー(アニマルセラピー)を外部サービスで導入されているホームも多くあります。
ペットと一緒にいることで、生きる活力になることもありますので、ご希望があればぜひ相談してみてください。
どのような方が入居できますか?
入居条件で『原則60歳以上の方』としているホームが多い中、60歳未満の方でも入居できるホームもあります。その他には、保証人を定めて円滑に共同生活が営める方、医療依存度・介護度の高い方、自立の方も入居されています。細かな設定条件については、各ホームで異なる場合がほとんどです。事前に確認するようにしましょう。
なお、入居が困難な可能性として『暴力をふるうなど他の方へ害を及ぼすおそれのある方』は受け入れてもらえないケースも考えられます。また、感染症の種類によっても事前に確認されることをおすすめします。
飲酒・喫煙、お菓子など食べ物の持ち込みはできますか?
はい。制限が必要な場合を除いて、お酒もタバコも可能です。ただし、タバコにつきましては火災防止の関係上、指定の喫煙スペースでの利用が基本となっています。また、病気等によってお酒、タバコが制限されている方もいますので、他の方々への配慮が必要となります。
ご家族からの差し入れやお菓子などの食べ物の持ち込みも可能ですが、事故防止の観点からホームでお預かりする場合があります。詳しくは各施設へ相談してみてください。
就寝時間や起床時間、門限など制限はありますか?
決まりはございませんので、ご自身のペースでお過ごし頂けます。ご自宅と変わらず、門限などの制限もありません。ただし、防犯の関係でエントランスは18時以降は施錠させていただいております。
※なお、インターホンにて呼び出すことで開錠は可能です。
ホームによって制限がある場合もございます。詳細は各施設へご確認ください。
日々の健康管理はどのように行われていますか?
看護師などが常駐しているわけではございませんが、外部の医療機関と連携して健康管理や療養に必要なケアの提供をしています。また、外部の訪問看護ステーションのサービスも利用することができます。定期的なバイタル測定や日々の生活のご様子観察は、常駐スタッフによって行っております。訪問介護での入浴前の測定は特に注視しております。体調にお変わりがない場合も、数値によっては別日への変更や短めの入浴等などの提案をさせていただいています。
認知症による徘徊などがあっても入居できますか?
認知症、徘徊の症状がある場合については、事前にご相談いただき入居いただいております。お一人お一人に常に寄り添った認知症ケアをご提供しています。また、皆さまが安心・快適にお過ごしいただけるよう、さまざまな関係機関との体制作りも強化しております。
入浴中の介助はしてもらえるのですか?
入浴については、訪問介護での生活援助サービスでスタッフが介助させていただきます。その他、デイサービスにて入浴することで、介護スタッフが安全に安心して入浴することができます。リフト浴や車椅子で浴槽につかることができる機械浴もございます。清潔保持のほか疲労回復やリラックス効果が期待できる入浴ですが、事故防止の観点から二人介助や同性介助ができない場合はご相談させていただいております。安全で快適な入浴の提供につとめています。
住宅型有料老人ホームでの1日はどう過ごすのでしょうか?
1日のスケジュールについては、デイサービス等の利用状況によって変わりますが、基本的なスケジュールについてご紹介します。
6:00 起床
7:00 朝食
9:30 入浴
10:30 体操
12:00 昼食
14:00 レクリエーション活動
15:15 ティータイム
17:00 夕食 自由時間
21:00 就寝
体操やレクリエーション活動の時間は、毎日日替わりの内容となっております。レクリエーション活動では、趣味活動や外部講師、イベント活動も企画しています。また、同じ入居されている方が講師となって日本舞踊や書道、なども行っております。
季節の行事やイベントとしてご家族をご招待させていただくこともありますし、近隣の小学校との世代を超えた交流活動も行っております。
最後まで看てもらえる(看取りの対応はある)のでしょうか?
看取りについては、外部の医療機関と連携しています。また、ケアプランにて訪問看護サービスの利用もご相談させていただきます。
入居後、他の施設へ転居は可能なのでしょうか?
はい。入居後にそのような希望がございましたら、遠慮なくご相談ください。なお、ご希望内容によってはホームでも対応することができるかもしれません。問題がある場合には、一緒に解決できるようにします。
また、退去についての内容は見学時にお話しできますし、契約時には必ずご説明させていただきます。
持病があっても入居できますか?
持病があっても入居は可能ですが、事前にご相談ください。ホームに看護職員などの医療専門職が常駐していませんので、入居に関しまして主治医とも相談しながら決めていく流れになります。場合によっては、外部の訪問看護サービスも利用できます。
住宅型有料老人ホームの食事について
食事はどんな内容ですか?また、制限がある場合でも対応可能ですか?
お食事については専門のスタッフを常駐しており、管理栄養士の指導の元、ホームの厨房で調理したてのお食事を提供いたします。その季節に合った旬の食材を豊富に使用し、彩りや香り、盛り付けもお楽しみいただけます。
朝食はご飯とパンを選択できて、昼食は和洋中の3種類から選択できます。スタッフへご希望をお伝えください。
夕食は日替わりメニューに加えて、パスタやカレーライス、うどん、そばの中から、気分や体調に合わせて選んでいただけるようにご準備しております。身体状況、体調に合わせて食事形態も、きざみ食やミキサー食等も準備が可能です。また、カロリーや塩分といった制限や、アレルギーにも対応いたします。
自分の部屋で食事はできますか?
お食事は、1階の広いダイニングでお召し上がりいただいております。ただし、お身体の状態によってお部屋へ提供させていただくことも可能です。ぜひお気軽に相談ください。
出前や持ち込みはできますか?
はい。出前のご利用は可能です。ただし、セキュリティの問題もございますので、ご利用の際には常駐スタッフへお声掛けください。
食品の衛生問題もあるため、ホームでお預かりすることもできますので、遠慮なくお申し付けください。
簡単な調理でしたら、共有スペースを使用できる時間帯もございます。ただ、ホームの厨房につきましては、衛生区画として関係者以外の立ち入りができませんのでご了承ください。
食事時間は決まっていますか?
お食事時間は、朝食7:00~9:00、昼食12:00~13:30、夕食17:00~18:30の間で提供しております。もしこの時間外で必要な場合には、その都度ご相談ください。
介護付有料老人ホームの施設設備・環境について
居室の設備について教えてください。(電話回線、インターネットほか)
居室内の主な設備については、介護用ベッド、洗面化粧台、トイレ、クローゼット、エアコン、緊急コール、テレビ端子となっております。各部屋に電話回線、インターネットを引くことは可能です。契約につきましては、お客様とサービス事業者との間でお手続きとなっております。不明点は、お気軽に各ホームへ質問されてみてください。
家具・家電の持ち込みはできますか?(そのほか植物など)
備え付けの家具がございますが、昔から使われている好きな家具や使い慣れたものを持ち込み頂いても大丈夫です。家電につきましても持ち込めますが、火災や事故の危険性があるものはご遠慮いただいております。植物も育てていただいて問題ありませんが、衛生管理には十分ご注意ください。居室スペースも限られておりますので、事前にご相談ください。
居室の広さはどのくらいですか?また、個室希望・広さなど自由に居室を選べますか?
ホームの居室面積は18㎡以上で、全個室となっております。広さは3タイプあり、空き状況によって変わりますがご希望に添えるようにお選びいただけます。南向き、東向き、西向きとお部屋がございますが、料金が変わってきます。ご見学の際にも、ご説明させて頂いております。
家族との面会時間は決まっていますか?ゲストルームなどに宿泊可能ですか?
ゲストルーム完備ですが、予約制としております。予約につきましては、お電話でも対応しています。面会時間は9:00~18:00となっておりますが、緊急時等についてはこの限りではありません。尚、感染症やインフルエンザの流行時には面会の制限をさせていただきます。感染拡大防止のため、ご理解ください。
居室内にナースコールはありますか?その他何かあった際のサポート体制など
全居室内にナースコールを設置しております。また、共用部分にもそれぞれ緊急用にナースコールを設置しております。見学の際にご確認頂けますし、入居時には必ず設置場所を説明いたします。何かあった際には、まず常駐スタッフがサポートいたします。状況に応じて関係各所と連携できる態勢を整えています。
契約・入居手続き(費用)関連について
入居するまでにどのくらい時間がかかりますか?
通常、ご入居までは以下のような流れになっています。
・施設見学
・体験入居(希望により)
・申し込み
・審査、面談
・本契約
・入居
体験入居の有無や日数によっても変わってきます。申し込み時に必要な書類の準備期間なども考慮し、1~2ヶ月程の時間を想定してお住まいとなる施設選びをしていただければと思います。
入居契約は本人でないとできませんか?
はい。入居契約は新たな生活をスタートさせる重要な手続きになりますので、内容を十分理解された上でご入居者ご自身で契約を行っていただいております。ただし、お身体の状態によって困難な場合はご相談ください。
実際には、契約時に家族様がご一緒されることが多いです。
介護認定を受けていないと入居できませんか?
住宅型有料老人ホームでは、介護認定を受けていない方でもご入居可能です。介護サービスが必要になりましたら、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが申請のお手伝いをいたします。ホームによっては入居条件が異なる場合がありますので、見学前に確認するとよいでしょう。
上乗せ介護費用とはなんですか?
お身体の状態によっては、介護認定で決められた上限金額では介護サービスが足りず上限以上に介護サービスを依頼される場合もあります。その際に上限を超えた分は自費(10割負担)サービスとなり、この部分が上乗せ介護費用ということになります。
入居者が亡くなった場合、入居金の支払いはどうなりますか?
入居金には「返還金制度」があります。ご入居の際にお支払いただいた入居一時金は、償却期間と償却率があり、その償却期間中にご逝去(ご退去)された場合には未償却分が返還されるシステムです。契約時に一定額が償却される「初期償却」の割合や返還金制度の算出方法などは、それぞれのホームで設定されております。償却期間については、3年以内にすべて償却される場合もあれば、10年以上かけて償却される場合もあります。
必ず契約書・重要事項説明書には記載されていますが、わかりにくいこともあります。遠慮せず事前に確認されることをおすすめします。
入居までに準備しておくこと(もの)について教えてください。
まず、郵送物等の変更が必要な場合はお手続きをお願い致します。また、以下で紹介する生活必需品はご準備ください。
・服用中の薬
・各種保険証
・衣類、タオル、オムツ・パット類、室内履き
・食器
・身の回りの物品(ヘアブラシや歯磨きセット、保湿用品、髭剃りなど)
その他、事前にご自宅の家財整理として行うこと、入居当日に引っ越し業者を依頼される場合には、そのお手続きもお願い致します。
入院中でも費用負担をしなければならないのですか?
ホーム規定によりますが、入院中の費用負担については月額料金【家賃・管理費など】が発生する可能性はあります。尚、入院が長期に渡ることが予想される場合は、ホームとご相談いただき、主治医も含めた積極的な話し合いで方針を定めます。
費用負担の詳細につきましては、見学時に確認できますし、契約時に説明はあります。
住宅型有料老人ホームの費用について
住宅型有料老人ホームへの入居でかかる費用については、以下ページでも詳しく紹介しています。是非、参考にしてみてください。
>> 住宅型有料老人ホームの費用
また、住宅型有料老人ホームをお探しの方は以下より検索してお探しいただくことができます。
当コラム記事の内容について
当記事の内容は、介護現場、ならびに医療法人などでも活躍された経験者へのインタビュー内容を編集し紹介しています。
インタビュイー プロフィール
藤井 寿和氏
合同会社福祉クリエーションジャパン 代表
陸上自衛官を経験後、介護の仕事に転身。医療法人の事業部統括マネージャーに就任した後、独立。
● 介護施設 現場支援コンサルタント
● レクリエーション介護士1級・2級 公認講師
● 介護情報誌「介護Times Tokyo」および「TOWN介護Tokyo」編集長
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