要介護認定を受けるには?判定基準と申請方法、認定を受けるメリット・デメリットを解説

要介護認定を受けるには?判定基準と申請方法、認定を受けるメリット・デメリットを解説

要介護認定は、介護が必要なレベルを区分化したもので、要支援1~2、要支援1~5の7段階に分かれます。
介護保険サービスを利用したければ、要介護認定を申請しなくてはなりません。

この記事では、要介護認定の判定基準と申請方法についてわかりやすく説明しています。
また、認定を受けるメリット・デメリットについても触れていますので、これから要介護認定を申請しようと考えているご本人・ご家族は、どうぞ最後までご覧ください。

  1. 要介護認定を受けるべき時期
  2. 要介護認定の判定基準と区分
  3. 要支援1
  4. 要支援2
  5. 要介護1
  6. 要介護2
  7. 要介護3
  8. 要介護4
  9. 要介護5
  10. 要介護認定を受けるための申請と流れ
  11. 要介護認定には有効期間があるので注意
  12. 要介護認定を受けるメリット・デメリット

要介護認定を受けるべき時期

要介護認定を受けるタイミング

決まったタイミングや時期はない

要介護認定を受けるべき年齢や時期に、決まりはありません。日常生活を送るなかで、本人や家族が動作に不安を覚えた時や、介護の必要性を感じた時がタイミングです。
要介護認定を受けようと考える機会としては、以下のケースが多い傾向です。

①自宅での生活が難しくなった時

要介護認定を受けるタイミングの1つが、自力での生活が難しくなってきた時です。
具体的には、足腰が弱ってきた、物忘れが出てきたなどが挙げられます。
特に、家族などのサポートがないと生活ができないようであれば、介護保険サービスの利用を視野に入れて要介護認定を受けておくとよいでしょう。

②退院後の生活をどうするか考えた時

「病気やケガにより入院し、退院後にどこでどのように生活するべきか?」
「介護老人保健施設(老健)の退所が迫っているが、自宅での生活は不安。」

以上のように、退院後や短期入居施設からの退所後に、どこでどのように生活するかを考えた時も、要介護認定を受ける代表的なタイミングです。
自宅に戻るのは難しく、介護保険サービスを提供している介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームに入居する場合は、要介護認定を受けている必要があります。

▶関連記事:老人ホームに入るための事前準備について

要介護認定の判定基準と区分

要介護認定の判定基準と区分

要介護認定では7段階の要介護状態区分が設けられ、「要支援1・2」「要介護1〜5」に分類されます。
ここからは、要介護認定の判定基準と各区分の詳細を解説しましょう。

「要介護認定等基準時間」により要介護度の区分が判定される

要介護認定は、介護サービスの必要度(介護をどれくらい必要としているか)を判断するものです。
介護を必要とする度合いは一人ひとり異なり、病気を抱えた人を例にしても、心身の状態や病状などによって違いがあります。

介護サービスの必要度は、まず「要介護認定等基準時間」に沿った要介護区分を算出して判定します。
要介護認定等基準時間は、介護にかかる手間を表すものさしとなる時間指標で、生活介助や医療関連行為などの5分野と認知症の有無から推計されます。

「介護認定審査会」が二次(最終)判定をおこなう

要介護認定等基準時間をもとにした要介護度区分の判定後、保健・医療・福祉の学識経験者5人ほどで構成された「介護認定審査会」で最終判定がおこなわれます。

介護認定審査会では、介護にかかる時間の精査をするほか、身体機能の維持や改善の可能性も含めた審査・判定を実施。
要介護度は利用できる介護保険サービスに影響するため、判定のばらつきを防ぐ目的から審査内容は全国一律です。

出典:厚生労働省 要介護認定はどのように行われるか

要支援1

要支援1は、要介護認定のなかでいちばん軽い段階で、立ち座りや歩行など部分的な動作に見守りや補佐が必要な場合に判定されます。
食事・トイレ・入浴など、基本的な日常生活は自力で送れる状態のため、要介護認定がついても、自宅での生活を続行する方が多いでしょう。

要支援1に認定されると、介護保険サービスのうち、以下のような「介護予防サービス」を利用することができます。

・介護予防訪問介護
・介護予防通所介護(デイサービス)
・介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)など
要支援1で入居できる老人ホームを探す

要支援2

要支援2は、要支援1と比べ身体機能が低下した状態で、2番目に軽い要介護度です。
歩行が不安定で杖や介助が必要な方、立ち座りや入浴、トイレなどに一部介助が必要な場合に判定されます。

適切なサポートがあれば日常生活が可能なため、自立支援サービスを利用して自宅で暮らすほか、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などへ入居するケースもあるでしょう。

要支援2に認定されると、要支援1で利用できる介護保険サービスに加え、要件を満たすことで以下の利用も可能です。

・介護予防認知症対応型通所介護(グループホーム)
※医師より認知症の診断を受け、他者との共同生活に問題のない方が対象

なお、要支援の認定を受けている方は、介護保険サービスで以下のような福祉用具レンタルを一部利用できます。

・歩行器、歩行補助つえ
・工事を不要とする手すりやスロープ など

要支援2で入居できる老人ホームを探す

要介護1

要介護1は、要支援の段階より身体機能が低下した状態です。認知症の症状をともなうケースも増加し、要支援2との違いとして認知症発症の有無も判定材料の1つになることがあります。
動作に部分的な介助が必要な場面が増え、他者のサポートなしで日常生活を送るのが難しくなり、老人ホームへの入居を検討する方が出てくる要介護度です。

要介護1に認定されると介護保険サービスのなかで、以下に代表されるような「介護サービス」を利用できます。

・訪問介護
・通所介護(デイサービス)
・短期入所生活介護(ショートステイ)
・介護老人保健施設などの一部公的施設
・特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)などの民間施設
要介護1で入居できる老人ホームを探す

要介護2

要介護2は、単独での立ち上がりや歩行が困難になりはじめ、日常生活全般で見守りや介助が必要となる場合に判定されます。
要介護1以上に生活動作が難しくなり、認知機能の低下がみられる方もいるでしょう。食事の準備や金銭管理といった生活サポートも必要となります。

訪問介護やデイサービスなどを利用しながら自宅で暮らす方もいますが、一人暮らしを継続するのは不安な状態といえます。

要介護2の方が利用できる介護保険サービスは、基本的に要介護1と同じですが、レンタル可能な福祉用具に車いすや介護ベッドなどが加わります。
また、身体機能の維持・向上や医療、服薬援助などの必要度に応じて、下記を活用するケースもあるでしょう。

・訪問リハビリテーション
・訪問看護
要介護2で入居できる老人ホームを探す

要介護3

要介護3は、自力での起き上がりや歩行が困難になる状態で、トイレや入浴、更衣など、動作のほとんどで介助が必要となる場合に判定される要介護度です。
認知症の場合は、症状が進行して自分の名前がわからない、動作の手順がわからないなどが発現し、問題行動を起こすこともあります。

自宅で生活するためには、福祉用具のレンタルや住宅改修、居宅支援の介護保険サービスを組み合わせるケースが多いでしょう。また、在宅介護に限界を感じ、施設入所を決断する方も多くなる段階です。

要介護3以上になると、利用できる介護保険サービスに以下が加わります。

・特別養護老人ホーム(特養)
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要介護4

要介護4は、日常生活の動作や行為全般に介助が必要な状態で、重度の要介護度に含まれます。
自力で歩行や座位を保つことが困難で、認知症が進み意思疎通が難しくなる方もいるでしょう。

家族など介護者の負担が大きく、介護施設へ入所したり、ショートステイの利用日数を増やしたりして、生活を維持するケースが多くなります。

要介護4に認定されると、要介護度の条件制限を受けず、全種類の介護保険サービスを利用できます。
自宅で暮らす場合は、緊急時や夜間の対応、24時間対応可能な訪問サービスとして、以下を活用するのもよいでしょう。

・定期巡回 随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
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要介護5

要介護5は、要介護認定のなかで最重度の介護を要する状態です。トイレや食事がほとんどできず、生活全般に全面的な介助が必要な場合に判定されます。
認知機能の低下や脳血管疾患による麻痺、骨折などで寝たきりや意思疎通が困難な方も多いでしょう。

介護や家事の支援にかかる時間が増え、医療面のケアも重要になるため、半数以上の方が施設に入所しています。

要介護5の認定を受けた方は、介護と医療双方をサポートするほか、看取りにも対応している以下介護施設のニーズが高い傾向です。

・介護医療院(旧:介護療養型医療施設)
・特別養護老人ホーム

出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム 公表されている介護サービスについて

要介護5で入居できる老人ホームを探す

要介護認定を受けるための申請と流れ

要介護認定の申請方法と認定までの流れ

要介護認定を受けるための申請方法や流れについて、以下に解説します。

①居住の自治体窓口で申請手続きをおこなう

要介護認定を受けるためには、まず居住している自治体の窓口で「要介護・要支援認定申請」をおこないましょう。

自治体の窓口やホームページに用意してある申請書に必要事項を記入し、介護保険被保険者証を持参して提出してください。
申請は本人や家族がおこなうほか、ケアマネジャーによる代行も可能です。

②認定訪問調査

要介護・要支援認定申請を提出すると、自治体の職員または自治体の社会福祉協議会の職員が、調査員として自宅や入居中の施設を訪問。その際に、食事や入浴、日常生活動作などの調査を実施します。

さらに、自治体から主治医に対して、意見書の作成を依頼し、主治医意見書が自治体に送付されます。

③要介護認定等基準時間に則した一次判定

調査結果や主治医の意見書をもとに、要介護認定等基準に則った一次判定をおこない、要介護度を暫定します。

④介護認定審査会による最終判定

つぎに、一次判定で出た結果について、介護認定審査会で有識者による審査を実施。介護の必要性や、その程度について最終判定します。

⑤認定結果の通知

要介護認定の区分決定後、本人あてに結果が通知されます。申請から認定の通知までの期間は、原則30日以内です。

要介護認定には有効期間があるので注意

要介護認定には有効期間があり、初回認定の場合は原則6か月、更新認定の場合は原則12か月です。
ただし、介護認定審査会の意見に基づき必要と認める場合は、有効期間が短縮・延長されるケースもあります。

なお、有効期間を過ぎると、介護保険サービスが利用できなくなるので注意が必要です。期間満了までに、認定の更新申請をおこなってください。
身体状態が悪化したなど変化が生じたときは、有効期間の途中でも要介護認定の変更申請をおこなうことができます。

要介護認定を受けるメリット・デメリット

要介護認定を受けるメリット・デメリット

【メリット】介護保険サービスが利用できる

要介護認定は、受けるメリットのほうが大きいですが、デメリットを感じることもあります。

要介護認定を受ける最大のメリットは、介護保険サービスが利用できるようになることでしょう。
介護や生活支援に必要なサービスを1割〜3割の自己負担で利用でき、経済的な負担を抑えられます。

また、家族が介護をしている場合、介護サービスを利用することによって、介護に割いている時間や労力を軽減できるでしょう。

【デメリット】異なった要介護度判定が出る可能性がある

デメリットとしては、要介護認定の調査訪問時に現状を正しく伝えられないと、異なった判定が出る可能性がある点です。
要介護度が低く認定されてしまうと、本来受けたい介護サービスが受けられなくなるおそれがあります。

調査時にだけ、普段よりしっかりした発言や、身体状態を見せる高齢者は少なくありません。
介護者である家族などの意見や認識も、正しく伝える必要があります。

当コラムの記事内容について

当コラムは、介護業界における実務経験者・管理者による監修をおこなっています。

監修者プロフィール

監修者プロフィール

松野 智恵 氏

訪問介護事業所に10年勤務。
訪問介護スタッフ、サービス提供責任者、デイサービスの生活相談員を経験したのち、訪問介護事業所の管理者を務め、事業所運営・従業員マネジメントのほか、介護スタッフの人材育成等に携わる。
退職後は、フリーランスのWebライターとして活動中。

<保有資格>
・介護福祉士
・社会福祉主事任用資格

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