介護医療院とは?病院や老健との違い、入居するメリット・デメリットなどをわかりやすく解説

介護医療院とは?病院や老健との違い、入居するメリット・デメリットなどをわかりやすく解説

介護医療院は、介護療養型医療施設と入れ替わる形で創設された介護保険施設です。
当施設は、長期療養が必要な疾患を持つ、比較的介護度の重たい高齢者が入居。介護と生活支援を受けながら暮らします。

この記事では、介護医療院の概要、サービス、費用などを詳しく解説します。
病院や介護老人保健施設といった他の介護保険施設との違い、介護医療院に入居するメリット・デメリットについても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

  1. 介護医療院とは?
  2. 介護医療院で提供されるサービス
  3. 介護医療院に配置されているスタッフの職種
  4. 介護医療院は大きく2種類に分かれる
  5. 介護医療院の入居条件
  6. 介護医療院の入居費用
  7. 介護医療院と病院・他介護施設との違い
  8. 介護医療院に入居するメリット・デメリット
  9. 介護医療院への申し込みについて
  10. 全国の介護医療院一覧
  11. 当コラムの記事内容について
  12. 急いで介護施設に入りたい…そんな時は「MY介護の広場・老人ホームを探す」にご相談ください!

介護医療院とは?

長期的療養と生活介護を目的とした要介護高齢者のための施設

介護医療院は、医療、身体介護、生活支援をおこなう公的な介護保険施設です。
長期療養が必要な高齢者を入居対象としており、他の介護施設や老人ホームと比べて、医療体制が手厚い点が特徴です。

介護療養型医療施設と交代する形で新たに創設

これまで長期療養に対応していたのが、介護療養型施設です。
医療的ケアやリハビリ、身体介護サービスを提供していましたが、生活支援は充実していませんでした。
そのため医療療養型病院とサービス内容の差がなく、医療的ケアを必要としない高齢者も利用していたことから、問題視されていたという経緯があります。
また、介護療養型施設は、療養生活が長期におよぶ入所者が多く、生活支援ニーズも高まっていました。

以上の理由から、長期療養と生活支援双方のニーズに応える介護医療院を2018年4月に創設。
それを機に、2024年3月で介護療養型医療施設を廃止し、多くの介護療養型医療施設が介護医療院に転換されました。

介護医療院で提供されるサービス

介護医療院で提供されるサービス

介護医療院で提供される主なサービス4つを、以下に紹介します。

医療的ケア

介護医療院では、入居者ごとの施設サービス計画に基づいたサービスを提供し、一人ひとりに必要な医療的ケアをおこないます。
なかには、他の介護施設では対応が難しい医療ケアを提供している施設もあります。以下は、介護医療院で対応している医療的ケアの例です。

・経管栄養の管理(経鼻胃管や胃ろう)
・喀痰吸引
・中心静脈栄養(IVH)の管理
・酸素療法
・気管切開、気管内挿管 など

介護・生活支援

食事や入浴、排せつといった身体介護以外にも、他の老人ホームのように、洗濯や清掃の支援、レクリエーションなどのアクティビティも実施しています。

リハビリ(機能訓練)

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といった専門スタッフが、機能訓練や生活動作訓練を実施します。
少しでも身体機能を維持し、自立した生活を送れるようサポートするのも、介護医療院のサービスです。

ターミナルケア・看取り

医療体制が充実している介護医療院は、ターミナルケア(終末医療)と看取りに対応。介護医療院の94.4%が、看取り期に入った入居者にターミナルケアを実施しています。

各施設で看取り指針を作成し、入居者が穏やかな最期を迎えられるように環境を整備しているのも特徴でしょう。

出典:厚生労働省 介護医療院・介護療養型医療施設の報酬・基準について(検討の方向性)社保審-介護給付費分科会 第190回(R2.10.30)資料10


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介護医療院に配置されているスタッフの職種

介護医療院に配置されているスタッフの職種

介護医療院は、他の介護施設に比べ、あらゆる職種のスタッフの配置が義務づけられています。
配置されている主なスタッフの職種を以下に紹介しましょう。

医師

医療的ケア対応のため配置が義務づけられ、24時間常駐しています。
入居者の診察、医薬品の処方、健康管理をおこないます。

看護師

医師の指示のもと、医療的ケアのサポートをおこなっているのが看護師です。
入居者のバイタル測定(脈拍、血圧、体温など)、心身の状態や食事量の確認などを実施し、健康管理をおこないます。

介護スタッフ

他介護施設同様、日々の介護サービスを提供しているのが介護スタッフです。
食事、排せつ、入浴の介助など、入居者の日常生活をサポートします。

リハビリ専門スタッフ

リハビリ専門の国家資格(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)を有したスタッフが配置されています。
入居者の身体機能維持のため、個々に合わせたリハビリを実施します。

薬剤師

他施設と大きく異なるのが、薬剤師の配置が定められていることでしょう。
医師の処方箋に従って医薬品を用意し、入居者の服薬管理をおこないます。

栄養士

食事面から入居者の健康管理をおこなうため、栄養士または管理栄養士も配置されています。
栄養バランスや入居者の身体状態に合わせた食事形態に配慮し、献立を作成。調理員に指示を出します。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

入居者の施設サービス計画書を作成するために、ケアマネジャー(介護支援専門員)も在籍しています。
入居者一人ひとりに適した介護サービスが行きわたるよう、介護度と心身の状態をチェック。介護に関する相談にも応じています。

介護医療院は大きく2種類に分かれる

介護医療院は、大きくⅠ型とⅡ型の2種類に分かれます。
両者の大きな違いは、入居対象者と人員体制です。介護医療院のⅠ型とⅡ型について、以下に解説しましょう。

Ⅰ型介護医療院

Ⅰ型介護医療院は、重度の疾病を抱え、手厚い医療的ケアが必要な高齢者が入居の対象者です。身体合併症の認知症の高齢者も対象となります。

介護職員はもちろん、看護師・医師も24時間常駐。
特に介護職員と医師の配置基準がⅡ型よりも手厚く、介護職員は入居者5名に対し1名、医師は入所者48名に対し1名という基準です。

Ⅱ型介護医療院

Ⅱ型介護医療院は、Ⅰ型に比べて容体が比較的安定した高齢者が入居の対象です。

介護職員・看護師・医師が24時間常駐しているのはⅠ型と同様ですが、職員の人員配置基準がⅠ型よりも緩やかで、介護職員は入居者6名に対し1名、医師は入居者100名に対し1名となっています。


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介護医療院のスタッフ人員配置基準一覧

介護医療院Ⅰ型・Ⅱ型のスタッフ人員配置基準(入居者人数に対するスタッフの配置人数)を以下に一覧化しました。

人員配置 Ⅰ型 Ⅱ型
医師 48:1(施設で3以上) 100:1(施設で1以上)
看護師 6:1 6:1
介護スタッフ 5:1 6:1
リハビリ専門スタッフ 適当数 適当数
薬剤師 150:1 300:1
栄養士 施設定員100以上で1人 施設定員100以上で1人
ケアマネジャー 100:1(施設で1以上) 100:1(施設で1以上)

出典:厚生労働省 介護医療院とは?

介護医療院の入居条件

長期療養を必要とする要介護1以上の要介護認定を受けている方

介護医療院の入居条件は以下のとおりです。

・65歳以上
・長期療養を要し、要介護1~5の要介護認定を受けている
・40~64歳の場合であれば、16種類の特定疾病により要介護1~5の要介護認定を受けている(介護保険第2号被保険者)

▶関連記事:40~50代でも老人ホームに入居できる特定疾病について

より重度の要介護状態の方が優先的に入居しやすい

介護医療院は、単に要介護1~5の要介護認定を受けているだけでなく、より重度な症状を持つ方のほうが優先的に入居しやすいでしょう。

理由としては以下2つが挙げられます。

施設数が少ない

1つめは、介護医療院は施設数が少なく、受け入れ人数に限界がある点です。
施設入居を急ぐ理由のある方を優先して受け入れせざるを得ない状況といえるでしょう。

加算報酬を得るため

2つめは、重度の介護や看護が必要な方へのサービスは、介護保険の「加算報酬」がつき、介護医療院の収入が増えるという点です。
施設の経営面から、重度の要介護高齢者を優先的に入居させる傾向にあります。

以上を裏付ける内容として、介護医療院の入居者は要介護4~5の方が8割以上を占め、平均要介護度は4.2という調査結果(厚生労働省発表)が出ています。

出典:厚生労働省 介護医療院(社会保障審議会 介護給付費分科会(第221回)資料3 令和5年8月7日)

介護医療院の入居費用

介護医療院の入居費用相場は、月10万円~20万円程度です。

介護保険施設のため、入居一時金などの前払金はなく、月々の居住費と食費を支払うほか、介護保険サービス費自己負担分や日常生活費(理美容代や消耗品費など)がかかります。
なお、利用者の所得によって居住費・食費の額が区分されているため、かかる費用は個人によって違いが大きいことも特徴でしょう。

さらに、居住費は多床室と個室で大きく費用が異なり、個室の利用料は高額です。
多くの介護医療院の居室は多床室型であり、個室が用意されている場合でも、部屋数が少ない状況となっています。

「MY介護の広場・老人ホームを探す」が調査した介護医療院の居住費と食費の月平均・中央値は以下のとおりです。

居住費・食費 平均 中央値
居住費(多床室) 20,200円 11,300円
居住費(従来型個室) 119,500円 90,800円
食費 46,100円 43,400円

※全国の介護医療院20件の住民税課税対象者の平均費用(30日換算)をMY介護の広場・老人ホームを探すが算出(2024年11月時点)

▶関連記事:介護医療院の介護保険サービス費自己負担はどれくらい?

介護医療院と病院・他介護施設との違い

介護医療院と病院・他介護施設との違い

介護医療院は、病院やほかの介護保険施設とどのように異なるのか、違いを以下に解説します。

介護医療院と病院の違い

適用される保険が異なる

介護医療院は介護保険法で位置づけられた介護保険施設で、病院は医療法で定められた医療施設です。
適用される保険も、介護医療院は介護保険、病院は医療保険といった違いがあります。

利用目的と対象者が異なる

介護医療院は「長期療養と介護」が目的で、介護保険法に則った利用条件があり、対象者は要介護認定を受けた高齢者(原則要介護1以上・65歳以上)です。

病院は「傷病治療と療養」が目的で、年齢問わず、すべての方が利用できます。

サービス内容が異なる

介護医療院は、日常生活上必要な医療的ケア、介護、リハビリを提供する施設です。
長期生活の拠点でもあり、生活に関する支援もおこないます。

一方、病院は診察と医療的ケアを中心に、療養上の世話や身体介助をおこないます。

介護老人保健施設(老健)との違い

老健は在宅復帰を目的とした一時的な入所施設

介護老人保健施設(老健)も、介護医療院と同じ介護保険施設に位置づけられています。

医学的管理の下で介護やリハビリ、医療的ケアを提供しますが、介護医療院との決定的な違いは目的です。
介護医療院は長期療養が目的であるのに対し、老健は在宅復帰を目的とした一時的な入所施設です。

老健では短期集中リハビリを実施し、身体状況に改善が見られると退所しなければなりません。

特別養護老人ホーム(特養)との違い

特養は介護度の重たい高齢者を対象とした生活施設

介護保険施設の1つである特別養護老人ホームは、主に要介護3〜5の重介護が必要な高齢者が、介護や健康管理を受けながら生活するための施設です。

介護医療院は、長期療養という観点から医療体制に重点を置いている施設です。
特養でも医療的ケアを受けられるケースは多いですが、医師の常駐は義務づけられていないため、介護医療院ほどの手当は受けられないでしょう。

介護医療院に入居するメリット・デメリット

介護医療院に入居するメリット・デメリット

メリット①:他施設と比べ医療的ケアが手厚い

介護医療院は医療スタッフの配置が義務づけられ、急な容態変化にも迅速に対応できる体制が整っています。
医師と看護師が常駐していることから、他の施設では難しい医療的ケアも実施できる施設が多くあります。

このような手厚いケア体制は、医療依存度の高い高齢者や、慢性疾患を抱える高齢者に適しているといえます。

メリット②:重度の介護や看取りにも対応している

介護医療院の入居者平均要介護度が4.2という結果からわかるように、介護医療院は重度の介護が必要な方を中心に受け入れをおこなっています。

看取り体制が整い、終身の利用が可能なのは、将来に備えて安心できるポイントでしょう。

デメリット①:個室が少なく居室のプライバシーが守られにくい

介護医療院に用意されている居室のほとんどが多床室(4人部屋が主)です。
なお、居室の広さは、介護保険法に基づく設備基準により、1人あたりの床面積が8㎡以上と定められています。

プライバシーに配慮した環境を求められていますが、パーテーションや家具で仕切った簡易的なものが一般的です。
個室とは違い、プライバシーが守られにくい点はデメリットといえます。

デメリット②:施設数が少なく選択肢がない、すぐの入居が難しい

2024年4月1日時点、全国の介護医療院の合計施設数は、926件となっています。
県内に数件のみ、市区町村別でみると開設されていないという自治体も多く、選択肢が非常に少ない介護施設の1つといえるでしょう。

また、1施設あたりの定員数も十数名~数十名程度と限られており、入居を希望しても満室で、すぐには入居できないという施設が多い傾向です。

出典:介護医療院の開設状況について(令和6年10月29日 厚生労働省老健局老人保健課)

介護医療院への申し込みについて

介護医療院への申し込み方法と流れ

要介護認定を受けてから施設に直接申し込む

介護医療院に入居したい場合は、まず要介護認定を受け、身体が要介護1〜5の状態であることを確定させる必要があります。
その後、介護医療院に直接申し込みをおこないましょう。介護医療院に申し込む際の流れは以下のとおりです。

・居住している市区町村の窓口へ申請し、要介護認定を受ける
・要介護認定を受けたら、入居を希望する介護医療院に直接申し込む

入居条件を満たし、審査を通過したら入居可能です。

全国の介護医療院一覧

自分の住むエリアに介護医療院があるかどうか確認したい時は、以下のホームページを閲覧してみるとよいでしょう。

・各都道府県または各市区町村ホームページ
・厚生労働省 介護サービス情報公表システム

以下に各自治体の介護医療院一覧が掲載されているホームページを紹介します。リンク先よりご確認ください。

※都道府県名をクリックすると該当ホームページに遷移します。

北海道・東北エリア

関東エリア

北陸エリア

中部エリア

近畿エリア

中国エリア

九州・沖縄エリア

関東エリア

当コラムの記事内容について

当コラムは、介護業界における実務経験者・管理者による監修をおこなっています。

監修者プロフィール

監修者プロフィール

松野 智恵 氏

訪問介護事業所に10年勤務。
訪問介護スタッフ、サービス提供責任者、デイサービスの生活相談員を経験したのち、訪問介護事業所の管理者を務め、事業所運営・従業員マネジメントのほか、介護スタッフの人材育成等に携わる。
退職後は、フリーランスのWebライターとして活動中。

<保有資格>
・介護福祉士
・社会福祉主事任用資格

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