高級有料老人ホームへ入居する際、何歳からでも入居できるわけではありません。ホームによって年齢の入居条件が定められています。
この記事では、何歳から入居できるのか、施設形態別の入居年齢や施設を探し始めるおすすめのタイミングなどについて紹介していきます。
高級有料老人ホームは何歳から入居できるの？
一般的な有料老人ホームは「60～65歳以上」
一般的には「60～65歳以上」の施設が多くなっています。高級有料老人ホームも同様の年齢設定となり、介護が必要かどうかで入居可能な施設や年齢条件が異なります。
例えば、介護付き有料老人ホームをはじめとする「介護型ホーム」は、介護度の認定が受けられ、介護保険が適用になる「65歳以上」を入居時の年齢基準として設けているケースが多くあります。
また、サービス付き高齢者向け住宅など、身の回りのことが自分でできる方向けの「自立型ホーム」では、60歳以上を入居の年齢基準としている傾向です。
なかには70歳以上を入居条件とする施設があるなど、ホーム毎でも入居可能年齢は異なるため、入居を検討する際は事前に確認するようにしましょう。
なお、「MY介護の広場 老人ホームを探す」経由で有料老人ホームへ入居された方の平均年齢は、86.7歳（2021年データ）でした。
介護の必要性を感じてから老人ホームへの入居を検討する方が多いことを示しているでしょう。
施設形態別 入居年齢について
▼介護付き有料老人ホーム
60歳以上、または65歳以上 ※施設により異なる
▼住宅型有料老人ホーム
60歳以上、または65歳以上 ※施設により異なる
▼グループホーム
65歳以上
▼サービス付き高齢者住宅
60歳以上
▼シニア向けマンション
55歳以上、または60歳以上 ※施設により異なる
▼特別養護老人ホーム
65歳以上
▼介護老人保健施設
65歳以上
65歳未満の方でも入居できるケースあり
40歳～65歳未満の方でも「特定疾病を患っていてかつ要介護認定を受けている方」であれば、ホームによって入居可能な場合もあります。
特定疾病について
厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」では、下記のように定義されています。
特定疾病とは、次のいずれの要件をも満たすものについて総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である。
要件：
1) 65歳以上の高齢者に多く発生しているが、40歳以上65歳未満の年齢層においても発生が認められる等、罹患率や有病率（類似の指標を含む。）等について加齢との関係が認められる疾病であって、その医学的概念を明確に定義できるもの。2) 3～6ヶ月以上継続して要介護状態又は要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病。
特定疾病については、その範囲を明確にするとともに、介護保険制度における要介護認定の際の運用を容易にする観点から、個別疾病名を列記している。（介護保険法施行令第二条）
1. がん（医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。）
厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」より引用
2. 関節リウマチ
3. 筋萎縮性側索硬化症
4. 後縦靱帯骨化症
5. 骨折を伴う骨粗鬆症
6. 初老期における認知症
7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
【パーキンソン病関連疾患】
8. 脊髄小脳変性症
9. 脊柱管狭窄症
10. 早老症
11. 多系統萎縮症
12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
13. 脳血管疾患
14. 閉塞性動脈硬化症
15. 慢性閉塞性肺疾患
16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
施設入居条件で注意・確認しておきたいこと
年齢以外の入居条件も確認を
有料老人ホームは、各ホームで定められている年齢条件に加えて、介護度や身体状態についても条件を課しています。
有料老人ホームを探す場合には、以下についても確認しておくようにしましょう。
【確認しておきたいこと】
- 介護認定の条件（要介護1以上、要支援1以上、自立の方でも可 など）
- 病気や医療行為などの受け入れ可否について（中心静脈栄養、鼻腔経管など医療行為が必要な場合でも受け入れ可能か など）
また、退去条件についても事前に確認しておくと安心でしょう。
高級有料老人ホーム入居者の平均年齢は？
平均88.3歳で全体の平均年齢より高め！
「MY介護の広場 老人ホームを探す」を介して、高級老人ホーム（富裕層の方向け）へ入居者された方の平均年齢は、88.3歳となっています。
有料老人ホーム全体では86.7歳が平均でしたので、高級老人ホームへ入居される方の年齢のほうが高い傾向といえるでしょう
なお、施設形態別の入居時平均年齢は、介護付き有料老人ホームが『85.9歳』、住宅型有料老人ホームが『88歳』、サービス付き高齢者向け住宅が『86.8歳』という結果となりました。
※「MY介護の広場 老人ホームを探す」2021年ご紹介での入居者データ
有料老人ホーム探しを始めるタイミングは？
ご自身で判断できる早めの段階がおすすめ！
ご自身が気に入った、納得できるホーム探しをするためには、早めの有料老人ホーム探しをおすすめします。
ご自身で探す場合には、情報収集はもちろんのこと施設見学で足を運んで比較検討したり、契約内容を理解したうえで判断しなければなりません。体力、判断力が必要です。
また、気に入った施設があっても満室により数ヶ月居室が空く予定がない、といったケースもあります。
老人ホームへの入居を考え始めたタイミングで、情報収集だけでもしておくとスムーズでしょう。
入居するタイミングは慎重に
一方で「入居するタイミング」については早ければ良いということでもありません。
比較的お元気なうちから入居し始めたが、入居後に介護が必要になった、介護度が重くなったなどで施設側が対応できず、退去しなければならないケースもあります。
入居先を決定する際は、介護が必要になった場合に受けられるサービス・サポート体制などを確認しておくと良いでしょう。
重度の介護・医療サポートが必要になった時には、施設内にある介護専用居室や系列の介護型ホームへ住み替えができる施設もおすすめです。
老人ホーム探しを始めるきっかけ【事例】
在宅（家族）介護が難しいと感じた時
在宅で介護を受けている場合、家族の負担が大きくなってきます。仕事と介護の板挟みになって「介護うつ」になったり、虐待をしてしまう危険性もあるでしょう。
いざそのような状況になってから老人ホーム探しを始めても、施設へ入居するまでに時間がかかってしまいます。
ご家族にも常日頃から相談し、在宅介護が難しくなる前に、施設入居に向けた準備を検討されてみてはいかがでしょうか。
「病院から退院」「老健から退所」が必要な時
高齢者が大きな病気や怪我により入院した場合、退院後も介護や継続的な医療ケアが必要になる確率は大きいものです。
MY介護の広場・老人ホーム入居相談室へのご相談が多い事例の1つにもなっています。
一時的に、介護老人保健施設（老健）に入ることもできます。ただし、老健は入居期間が原則3ヶ月なので、その後はご自宅などに戻らなければなりません。
病院から退院、介護老人保健施設から退去する前に、老人ホームへの入居も選択肢の一つとして検討してみましょう。
ご自身が家族など周囲に迷惑をかけたくないと感じた時
家族や親族に迷惑をかけたくない、自分のことは自分で決めたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
身体状況が悪化する前であれば、ご自身で直接施設を見学した施設から余裕を持って選ぶことができます。また、体力的にも複数施設の見学ができ、幅広い老人ホームから最適な施設を選べるでしょう。
早いタイミングで施設探しを始めることで、ご家族や周囲へ迷惑をかけないだけでなく、ご自身の豊かな生活にもつながっていきます。
よくある質問を紹介
MY介護の広場・老人ホーム入居相談室に寄せられる、よくある質問を以下に紹介します。
今すぐ入居は考えていないが、比較的元気なうちから準備しておくメリットは？
第一に、ゆとりをもってご自身の希望条件に当てはまる老人ホームを探せるというメリットがあります。
時間があれば実際に施設を見学し、食事の試食もできますので、入居後の具体的なイメージが構築できるでしょう。
さらに、有料老人ホームへの入居を検討する目的、重要視したい事項（広い居室スペース、交通の便が良い、居室からの眺めが良いなど）をある程度整理しておくことで、施設探しがスムーズに進められます。
高級老人ホームを探す上でチェックすべきポイントは？
入居費用が高額な分、施設内の設備や共有スペース、各種生活サービスが充実しているのが高級老人ホームです。
施設によって大きく差がある部分としては、介護や医療ケアが必要になった場合の体制でしょう。
介護スタッフの人数をはじめ、看護スタッフが常駐しているのか、医療機関との連携はどのようになっているのか等をチェックしておくと、入居後も安心です。