余裕を持って安心した老後生活を送るために、高齢者向け住宅や施設への入居を検討する方は多いでしょう。
なかでも、富裕層を対象とした入居費用が高額なシニア向け分譲マンションと高級老人ホームの違いを熟知している方は多くありません。
この記事では、両者の違いを入居条件や費用、権利形態、生活スタイルなどから比較します。
メリットとデメリットを踏まえた上で、どちらの物件や施設が適しているのか参考にしてください。
また、メリット・デメリットを把握することで、失敗や後悔のない選択ができるようになるでしょう。
シニア向け分譲マンションと高級老人ホームの違い
シニア向け分譲マンションと高級老人ホームの違いを項目別に表で比較してみましょう。
シニア向け分譲マンション | 高級老人ホーム | |
---|---|---|
入居対象者 | 50歳以上 | 60〜65歳以上 |
入居条件 | 自立した高齢者 | 自立した高齢者から 要介護1〜5 認知症の高齢者 まで ※1 |
費用 | 物件購入費: 1千万〜数億円程度 月額費用: 10〜30万円程度 | 入居一時金: 1,000万〜3,000万円程度 月額利用料: 20〜50万円程度 |
権利形態 | 所有権 | ・利用権方式 ・建物賃貸借方式 ・終身建物賃貸借方式 のうちのいずれか |
付帯するサービス | ・フロントサービス ・生活支援サービス ・緊急時対応など ※2 | ・介護支援サービス ・医療ケア ・機能訓練など ※3 |
生活スタイル | 制限なし | 原則タイムスケジュール通り |
看取り | 非対応 | 施設により対応 |
※2.物件によりサービス内容は異なる
※3.介護度によってサービス提供内容や介護保険適用状況が異なる
シニア向け分譲マンションとは?
シニア向け分譲マンションとは高齢者を対象とした購入型の物件で、購入後は物件の所有権を得ます。
一般的なマンションと異なるのは、建物がバリアフリー仕様となっている点です。
車椅子でも移動できるスペースが確保されていたり、手すりが備え付けられていたり、高齢者が生活しやすい工夫がなされています。
入居時は元気で自立していたとしても、年齢を重ねるにつれ、段差の少ないバリアフリーに対応した住まいのほうが暮らしやすいことに間違いはないでしょう。
また、日々の生活が充実する設備を備えているのがシニア向け分譲マンションの特徴でもあります。
レストランや大浴場、プール、ジムなどが設置され、入居後には活力ある日々が期待できます。
居室はお一人様向けの1LDKタイプから、夫婦で入居できる2LDK以上の間取り、ペット可の物件などさまざまな特色があります。
それぞれが思い描く自立した老後生活に対応できるのが、シニア向け分譲マンションの大きなポイントです。
高級老人ホームとは?
高級老人ホームとは、一般的な老人ホームよりも入居費用が高額で、きめ細やかな要望に対応してくれる高齢者向けの施設です。
ホテルライクなおもてなしを受けたい高齢者や、ゆとりある老後の暮らしを楽しみたい高齢者が入居しています。
なお、老人ホームには公的施設と民間施設の二通りあり、高級老人ホームは主に「有料老人ホーム」と呼ばれる民間施設に該当します。
実際にどのような種類の老人ホームがあるのか以下に解説していきましょう。
公的施設
公的施設とは、国や地方自治体、社会福祉法人などが運営母体となる老人ホームです。具体的な施設の種類としては、特別養護老人ホームや介護老人保険施設、ケアハウスなどが挙げられます。
民間施設と比較すると費用が安いというメリットがあります。しかし、居室は1部屋に複数名が入所する多床室であるケースが多く、プライベートな時間を持ちにくいデメリットも。
また、安価な費用から、施設によっては入所希望者が多く、入所待ちが発生します。なかには100名以上が待機している施設もあり、希望するタイミングですぐに入居できないという点もデメリットでしょう。
民間施設
民間施設とは、民間企業が運営する老人ホームです。具体的には介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(※)、グループホームなどが該当します。
公的施設と比較すると費用は高額ですが、介護支援サービスや生活に活気が出るレクリエーションなどが充実しています。
自立している高齢者から要介護の高齢者まで、入居対象者の幅が広いのも民間施設の特徴といえるでしょう。
なお、施設によって、介護・生活サービスの内容が異なります。実費でかかる費用項目もあるため、入居前にサービス内容と費用の内訳を確認するようにしましょう。
※サービス付き高齢者向け住宅は、厳密にいうと高齢者向けの賃貸住宅に分類される
【項目別】シニア向け分譲マンションと高級老人ホームの違いを解説
「シニア向け分譲マンションと高級老人ホームのどちらがいいのだろうか……。」高齢者向けの住宅を選ぶ際、このような疑問を抱く方は少なくありません。
ここでは入居条件や費用、設備などの項目別に両者の違いを比較します。異なる点を理解して、理想のシニアライフを実現できる住処を選びましょう。
入居条件
シニア向け分譲マンションは、基本的に自立した生活を送れる高齢者を入居対象者としています。
介護が必要な方でも入居できる物件はありますが、介護度が軽度の高齢者を対象としている場合がほとんどです。
入居後に常時介護支援が必要になったり、認知症を発症したりすると、老人ホームへの住み替えの検討をしなければなりません。
なお、入居可能な年齢は50歳以上としている物件が大半です。ご夫婦で入居したい場合は、どちらかが対象年齢の下限に達している必要があります。
一方、高級老人ホームに限らず有料老人ホームに分類される施設は、自立している高齢者から要介護5の高齢者まで幅広い層を入居対象者としています。
細かな入居条件は、施設によって異なりますが、有料老人ホームの種類によって入居できる身体状況は以下のように分かれる傾向です。
- 介護付き:自立〜要介護5
- 住宅型:自立〜軽度の要介護
- 健康型:自立
- サービス付き高齢者向け住宅:自立〜軽度の要介護
なお、入居可能な年齢は、介護付きが65歳以上、住宅型と健康型、サービス付き高齢者向け住宅が60歳以上とする施設が多く見受けられます。
入居や生活にかかる費用
シニア向け分譲マンションは購入費や毎月の生活費が発生します。
購入費の目安は1千万円〜数億円程度で、物件により大きく異なるのが一般的です。
毎月発生する費用としては、いわゆる生活費として、食費や管理費、修繕積立金、生活支援サービス費などが挙げられます。
掃除や食事などの生活支援サービスは利用した分だけ費用がかかるため、どのような生活を送りたいのか、予算を鑑み、検討したほうがよいでしょう。
有料老人ホームは、入居時に家賃相当の費用をまとめて支払う入居一時金と、毎月の生活費に相当する月額利用料が発生します。
一般的な老人ホームの入居一時金は10万円から30万円程度ですが、高級老人ホームの場合、入居一時金が1,000万円から3,000万円程度にのぼり、入居一時金が1億円を超える超高級老人ホームと呼ばれる施設もあります。
月額利用料は20万円から50万円程度が相場となっています。
なお、月額利用料には、管理費、食費、水道光熱費などが含まれます。その他、高級老人ホームなど介護職員の人数が多く、手厚い介護を実施している施設は、介護保険適用の介護サービスとは別途、上乗せ介護サービス費が発生します。
月額利用料の内訳も施設によって異なる部分が大きいため、事前に確認しておきましょう。
権利形態
シニア向け分譲マンションは購入者に所有権があるため、財産となり、家族へ相続したり売却したりすることが可能です。
購入にあたって住宅ローンの利用もできますが、金融機関によっては契約できる年齢に制限が設けられている点に注意しましょう。
老人ホームの権利形態は、利用権方式、建物賃貸借方式、終身建物賃貸借方式のいずれかに該当します。
- 利用権方式
生活するために必要な介護サービスを受ける権利、居室などの利用権利。入居者が死亡すると権利が消失する。 - 建物賃貸借方式
家賃や管理費などを支払い建物に居住できる権利。各種サービス利用は含まれない。費用を継続して支払う場合、入居者死亡後の権利が相続人に引き継がれる。 - 終身建物賃貸借方式
建物賃貸借方式同様、入居費用を支払うことで建物に居住できる権利。入居者一代限りの契約で、入居者が死亡すると契約が終了となる。
入居にあたり、どの権利形態に該当するのかきちんと理解しておくことがトラブル防止につながります。
設備
シニア向け分譲マンションは図書室や共同のリビング、食堂、売店、ジムなど生活の質を向上させる設備が充実しています。
建物内がバリアフリー仕様で、高齢者が生活しやすい環境が整っているのが特徴です。
有料老人ホームの場合、施設によって付随する設備はさまざまですが、高級老人ホームにおいては、さらに生活の満足度が高まる共有スペースが設けられています。
例えば、温泉大浴場やプール、カラオケやシアター、重厚感あふれる内装や調度品など、優雅かつ快適に過ごせる、まるで高級ホテルのような環境が広がります。
介護・見守りサービス
シニア向け分譲マンションはフロントサービスなど、生活の利便性を高められる支援が期待できます。その他にも見守りサービスや緊急時対応サービスなど、高齢者が安心して暮らせるサービスも提供しています。
しかし介護が必要になった場合は、マンション内のサービスではなく、外部の訪問介護サービスを利用する必要があります。
有料老人ホームの場合は、高齢者の見守り・相談サービスはどの施設でも実施されていますが、介護については、施設の種類によってサービス内容が異なります。
- 介護付き有料老人ホーム:館内に介護スタッフが常駐し、そのスタッフがケアサービスを提供する
- 住宅型有料老人ホーム:介護が必要な場合は、外部の訪問介護事業者と契約し、サービスを受ける
- サービス付き高齢者向け住宅:住宅型老人ホーム同様、外部の訪問介護事業者と契約し、サービスを受ける
- 健康型有料老人ホーム:介護サービスの提供はなく、居室・館内共有スペースともに、介護を想定した造りになっていないため、介護が必要となった場合は、介護付き老人ホームへの住み替えを検討する必要がある
高級老人ホームは、介護スタッフの人数が多いため、より手厚い介護サービスが期待できるでしょう。また、理学療法士や作業療法士などによる機能訓練も充実しているため、身体機能を維持・向上し、健康寿命を伸ばすことも可能でしょう。
居室や生活スタイル
シニア向け分譲マンションは自室にキッチンやバス・トイレなどを完備しているため、自立した生活を送れます。
生活内容にも制限はなく、家族や友人を自由に招き入れたり、入居者本人が自由に外泊したりすることも可能です。
有料老人ホームは、居室内にトイレ・洗面スペースが備え付けられているケースがほとんどですが、浴室等は他の入居者と共同で使用することもあります。
ただし、高級老人ホームは広い間取りの居室も多く、マンション同様、キッチンやバスルームを完備している施設があります。自宅と変わらない環境下での生活が送れるでしょう。
喫煙・アルコールの提供や面会・外出ルールは施設によって異なるため、確認が必要です。
シニア向け分譲マンションのメリット・デメリット
シニア向け分譲マンションと高級老人ホームの違いを明確にするためにも、両者のメリットとデメリットを理解しましょう。
まずは、シニア向け分譲マンションに居住するメリットをお伝えします。
シニア向け分譲マンションのメリット
シニア向け分譲マンションは、ご家族に資産を残せるという点が最大のメリットです。ほかにもどのようなメリットがあるのか以下に紹介していきます。
所有財産になる
シニア向け分譲マンションは購入するため、ご自身の所有物となります。
そのため、有料老人ホームではおこなうことが難しい居室のリフォームなど、自由に空間をカスタマイズすることが可能です。
壁に穴を開けてお好きな絵画やご家族の写真を飾るなど、好きなようにアレンジできる魅力があります。
また、家族に相続する、賃貸物件として貸し出し、家賃収入を得るといった使い方もできます。
高級老人ホームと比較して、自由度が高いのがシニア向け分譲マンションのメリットといえるでしょう。
入居者同士での交流が期待できる
シニア向け分譲マンションでは、入居者同士の交流を図る目的でレクリエーションやサークル活動が開催されています。
同じ物件に魅力を感じて入居した年齢の近い住民と交流を持てるため、良い気晴らしになるでしょう。
長年住み慣れた自宅を離れ、入居することに不安を覚えている方も、イベントに参加することで気の合う入居者を見つけられるのではないでしょうか。
生活の質が向上する
ジムや温泉、映画館、レストラン、売店など、シニア向け分譲マンションには魅力的な共有設備が揃っています。
マンション内に生活を豊かにする設備が揃っているため、外出しなくても生活の質が向上するでしょう。
設備の種類は物件によって異なります。
「温泉を楽しみたい」「美味しい食事を楽しみたい」といった希望条件を満たす物件を探してみましょう。
生活支援サービスを受けられる
郵便物や宅配便の受け取り、クリーニングの手配、家事代行など多岐にわたる生活支援サービスを受けられます。
その他、介護や医療サービスの手配をおこなってくれる物件も少なくありません。
フロントに24時間スタッフが常駐している物件もあり、安心感もあるでしょう。緊急時には救急車やタクシーの手配を依頼することも可能です。
しかし物件によってサービスの範囲は異なり、サービス費もかかります。入居を検討する際は、サービスについての詳細を確認しましょう。
シニア向け分譲マンションのデメリット
メリットだけでなく、デメリットにも目を向けることで入居後に後悔するリスクを減らせます。
デメリットも把握した上で、シニア向け分譲マンションへの入居を検討しましょう。
まとまった資金が必要
シニア向け分譲マンションに入居するデメリットとしてまず挙げられるのは、費用の高さです。
購入時の費用はさることながら、生活を維持するための費用もかかります。住宅ローンを利用する場合も、まとまった資金が必要なことに変わりありません。
ご自身の予算と物件の購入費および毎月の生活費を比較検討する必要があるでしょう。
将来的に転居が必要になる場合がある
自由度の高い生活を満喫できるのがシニア向け分譲マンションのメリットですが、居住し続けるには、入居条件を満たしている必要があります。
入居の条件に多い項目としては、自立して生活できることが挙げられるでしょう。
条件の詳細は物件により異なるため、外部の介護サービスを利用すれば居住し続けられるのか、退去しなくてはならないケースはどのような場合なのか、細かく規約を確認しましょう。
高級老人ホームのメリット・デメリット
続いて、高級老人ホームに入居する場合のメリットとデメリットをお伝えします。メリットだけでなくデメリットについても理解してから施設を探しましょう。
高級老人ホームのメリット
一般的な老人ホームとの違いを踏まえた上で、高級老人ホームのメリットをお伝えします。
一般的な老人ホームよりも質の高い生活が送れる
高級老人ホームは入居費用が高い分、一般的な老人ホームよりも利便性の高いエリアや人気のあるエリアに立地している傾向です。
例えば、人気のリゾート地にある高級老人ホームは、部屋から美しい景観が望めるといったメリットがあります。
自然豊かな環境で過ごしたいのか、住み慣れた都心で生活したいのか、理想とする暮らし方に合わせた施設を選択できるでしょう。
また、高級老人ホームは、スタッフ教育が徹底されているため、気持ちの良い対応を受けられます。
ストレスなく、快適な老後生活を楽しみたい方は、高級老人ホームへの入居が推奨されます。
建物に高級感がある
外観や内装に高級感があるのも高級老人ホームの特徴です。調度品やデザインにこだわっている施設が多いため、ホテル暮らしを思わせるような優雅な生活を体感できるでしょう。
さらに、フィットネスや大浴場、映画館、レストラン、売店など、シニア向け分譲マンションにも劣らない共有スペースを備えている施設も多くあります。
趣味や普段の生活スタイルから施設を選ぶと、毎日が充実するに違いありません。
健康に配慮した食事が楽しめる
健康に配慮しながら、美味しい食事を楽しめる点も高級老人ホームの魅力です。
管理栄養士が考案した食材にこだわりのあるメニューをプロの料理人が調理したり、レストラン形式でオーダーしたメニューを出来たてで味わったりできるのが高級老人ホームの食事です。
施設によっては有名シェフ監修のメニューや板前の出張サービスによる握り寿司を堪能することもできます。
オリジナリティ溢れるイベントが充実している
高級老人ホームでは著名人を招いたイベントや国内外への旅行など、独自性のあるイベントが開催されています。
ヨガ教室や陶芸教室など、施設にいながら新しい体験ができる施設もあるため、充実した時間を過ごせるでしょう。
同じ趣味や興味を持つ入居者が集うサークル活動を実施している施設も多々あります。
サークル活動を通して他の入居者やスタッフとコミュニケーションを取れるため、孤立する心配がありません。
医療・介護サービスが手厚い
一般的な老人ホームよりも充実した医療ケアや手厚い介護体制が整っているのも高級老人ホームに入居するメリットです。
理学療法士や作業療法士の資格を持つ機能訓練指導員によるリハビリなど、身体機能や認知機能を向上させるケアも実施されています。
さらに、施設にクリニックが併設されていたり、看護師が常駐していたりするなど、24時間対応の医療体制を整えている高級老人ホームもあります。
入居者ご本人もご家族も安心感を得られるでしょう。
高級老人ホームのデメリット
メリットが目立つ高級老人ホームですが、デメリットもあります。
プライベートな時間を確保したい方やご家族と頻繁に会いたい方にとっては、ホームでの暮らしがストレスとなるリスクも考えられるでしょう。
後悔を防ぐためにも、考えられるデメリットについて入居前に理解しておくことが重要です。
施設の雰囲気が気に入らない可能性がある
一人で過ごすのが好きな方や、積極的に他の入居者やスタッフと交流を図りたくない方にとっては、高級老人ホームでの暮らしがストレスになってしまう可能性があります。
手厚いサービスが期待できる分、スタッフに声をかけられる頻度が高かったり、イベントやレクリエーションが頻繁におこなわれたりしています。
他の入居者の話し声が気になって生活に支障をきたすおそれもあるでしょう。
入居前に見学を実施し、施設内での生活の様子や、スタッフの対応を念入りに確認することをおすすめします。
面会制限により家族と自由に会えない施設がある
入居者の生活リズムを整える目的で、来訪者と面会できる時間帯が決まっている施設があります。その場合、ご家族との時間を自由に持てなくなる点に注意しましょう。
- 面会には事前予約が必要なのか
- 面会頻度や時間に制約があるのか
- 手土産は自由に渡せるのか
以上を事前に確認し、入居者本人だけでなく、ご家族も面会ルールに納得できる施設を選ぶのが後悔しないためのポイントです。
費用がかかる
高級老人ホームは、一般的な老人ホームに入居する場合よりも入居時の費用が高額です。費用に見合う生活環境やサービスが提供されているのか、必ず確認しましょう。
【シニア向け分譲マンション・高級老人ホーム】条件別の事例で比較
ここまでシニア向け分譲マンションと高級老人ホームの違いを解説したものの「結局どちらが最適なのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。ここでは、条件別で事例を紹介します。
【シニア向け分譲マンション】条件別の事例
自立してお元気な方や金銭的に余裕がある方には、シニア向け分譲マンションへの入居が推奨されます。詳しい条件や理由について見ていきましょう。
自立して生活でき資金にも余裕がある
自立していて生活のサポートも特に必要がないという方は、シニア向け分譲マンションへの入居がおすすめです。
誰にも干渉されず入居者のペースで生活できるのは、シニア向け分譲マンションならではのメリットです。
しかし、自立が難しい身体状況となったり、日常生活を送るために24時間介護が必要となったりした場合は、居住し続けられない可能性があります。
また、一般的なマンションと変わらない側面もあり、管理費や修繕費などが発生します。オプションの生活サービスを利用した際は、その費用も実費負担となります。
シニア向け分譲マンションは、基本的に富裕層向けの物件となるため、十分な資金のある方におすすめの住宅といえるでしょう。
家族に資産を残したい
ご家族に資産を残したいと考える高齢者は少なくありません。シニア向け分譲マンションは購入するため、ご家族に相続することも可能です。
相続したご家族が入居しない場合は、自由に売却してまとまったお金を得ることも可能でしょう。
しかしシニア向け分譲マンションは入居対象者の年齢などが限られるため、一般的なマンションよりも売却の難易度が高い点に注意が必要です。
【高級老人ホーム】条件別の事例
「家族に介護をさせたくない」
「わずらわしい家事から解放されたい」
「高齢となり自宅の管理が大変になってきた」
「一人暮らしなので生活に不安がある」
以上のような希望のある方は、高級老人ホームへの入居が推奨されるでしょう。今現在お元気な方でも、将来的に身体状況がどうなるかわかりません。
また、身体が思うように動かなくなってから施設を探そうとした場合、希望する施設への入居が叶わない可能性もあります。
お元気なうちに自分の目で確かめながら高級老人ホームを探すと、後悔や入居後のリスクを軽減することができます。
手厚い介護や医療サービスを受けたい
すでに持病をお持ちの方や介護を必要としている方は、高級老人ホームへの入居を検討しましょう。
健康的な生活を送りたいと考えている方も、健康管理サービスのある高級老人ホームへの入居が適しています。
高級老人ホームには、介護スタッフのほか看護師が常駐しているケースがほとんどで、手厚い介護や医療ケアを受けられます。医療機関とも連携が取れているため、緊急時も安心でしょう。
また、作業療法士や理学療法士によるリハビリもマンツーマンで受けられるため、身体機能や体力維持も期待できます。
充実した生涯を過ごしたい
高級老人ホームでは、イベントが豊富に開催されています。施設内ではほぼ毎日何らかのイベントやレクリエーションが実施され、外出レクとして観光地や飲食店に外食に行く機会もあります。
他の入居者と交流を図りたい方や、一人での生活に不安を覚える方にも高級老人ホームがおすすめでしょう。
きめ細やかな生活支援サービスを受けたい
家事代行サービスやコンシェルジュサービスを展開する高級老人ホームもあります。
買い物を頼みたい、旅行プランを考えてほしい、居室の電球の交換をお願いしたいなど、あらゆる要望に応えてくれるのが高級老人ホームのサービスの特徴といえるでしょう。
このように介護サービスだけでなく、日常生活においてきめ細やかなサポートを受けたい方は、高級老人ホームへの入居がおすすめです。
【失敗を防ぐ】シニア向け分譲マンションと高級老人ホームの選び方
安心できる老後生活を期待してシニア向け分譲マンションや高級老人ホームに入居したものの、失敗したと感じる方が一定数いらっしゃいます。
思い描いていたような生活環境ではない感じたときに入居を後悔する方が多いようです。実際にMY介護の広場・老人ホーム入居相談室には、転居を希望するご相談が後を絶ちません。
どちらも安い出費ではないため、失敗や後悔のない選択をしたいもの。ここでは、快適な生活を送るために知っておきたい物件・施設選びのポイントを紹介します。
入居者やスタッフの雰囲気が良いか
物件や施設を見学する際に、どのような入居者やスタッフがいるのか確認しましょう。
シニア向け分譲マンションや高級老人ホームの多くは、一つひとつに特色があります。物件や施設によって雰囲気や他の入居者との関わり方が異なってくるでしょう。
実際に暮らす人々の様子を確認することで、入居後に馴染めそうかどうか判断ができます。また、入居者層を把握しておけば、物件の購入後もしくは入居後に後悔する可能性を減らせるでしょう。
自身の生活スタイルを尊重できる環境か
シニア向け分譲マンションや高級老人ホームに入居したいと思う動機は人それぞれです。
一人暮らしに不安を覚えたことがきっかけになる方もいれば、プロの介護サポートを受けたいという希望がきっかけになる方もいるでしょう。
元々社交的な方は、サークル活動やイベントが充実している高級老人ホームへの入居がおすすめです。
反対に、一人の時間をしっかり確保したい方は、シニア向け分譲マンションや自由度の高い高級老人ホーム、スタッフの声かけ頻度が最低限の施設を選ぶと良いでしょう。
また、アルコールやタバコといった嗜好品を楽しみたい方は、生活に制限のないシニア向け分譲マンション、バーや喫煙所が設けられた高級老人ホームを選択する必要があるでしょう。
特に施設は、アルコールの管理をスタッフがおこなったり、館内完全禁煙のところがあったりするため、事前の確認が重要です。
どの程度で他の入居者やスタッフと交流が発生するのか、プライベートな時間が守られるのか、きちんと確認することが失敗しない物件・施設選びにつながります。
施設のルール内容(高級老人ホームの場合)
高級老人ホーム選びにおいて、入居検討者本人だけでなくご家族も必ず確認すべき項目は、施設内のルールです。特に外泊や面会時間、お土産の受け渡しについて確認しておきましょう。
頻繁にご家族が面会に訪れることを想定している場合、面会ルールが厳しい施設では入居後にストレスを感じるおそれがあります。
新型コロナウイルス感染症が影響し、継続して面会時間や面会場所に制限をかけている施設も度々見受けられます。
不明点や疑問点は必ず入居前に確認し、ルールを守りながら円滑な生活を送れるように心がけましょう。
シニア向け分譲マンションと高級老人ホームに関するよくある質問
最後に、シニア向け分譲マンションや高級老人ホームへの入居を検討している方が疑問に感じる点やMY介護の広場・老人ホーム入居相談室に寄せられるよくある質問についてまとめました。
特に、夫婦やペットとの入居を望んでいる方は参考にしてください。
夫婦で入居することは可能?
シニア向け分譲マンションはもちろん、高級老人ホームにもご夫婦で入居できる施設があります。
ご夫婦での入居を希望している場合、居室の広さや間取り、標準設備をチェックすることがポイントです。これまでご夫婦が築き上げた生活スタイルが崩れないかどうか確認しましょう。
ペットと一緒に入居できる?
シニア向け分譲マンション、高級老人ホームともにペットと一緒に入居できる物件や施設があります。
注意したいのは、ペットの種類や数に制限があることです。一般的に同居できるペットは、小型犬や猫の範囲で、数は1匹までと制限しているケースがほとんどです。
また、入居者がペットの世話をすることが難しくなった場合に利用できるサービスがあるのか、ペットの鳴き声が原因で他の入居者との間にトラブルが発生した場合に罰則が発生するのかなど、細かい規定についても確認しておくことが重要です。
いざという時のために、ペットの世話をしてくれる方やペットの譲渡先を先行して確保しておくことがペットの幸せにもつながるでしょう。
快適に過ごせる物件・施設で充実のシニアライフを
充実したシニアライフを送るためには、条件や趣向に一致するシニア向け分譲マンションや高級老人ホームを選ぶ必要があります。
人によって希望条件は異なりますので、現状の生活スタイルや身体状況に合わせた物件や施設を選択しましょう。
シニア向け分譲マンションにも高級老人ホームにもメリットとデメリットがあります。
しかし、物件や施設1件ずつのメリットとデメリットを把握していくのは容易ではありません。
- なかなか希望条件に見合う物件や施設が見つからない
- プロから施設選びのアドバイスを受けたい
このような場合は、『MY介護の広場・老人ホーム入居相談室』が相談をお受けいたします。
些細な内容でも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。