山の手の自然につつまれた、異人館のほど近くにある「ブランシエール神戸北野」。
神戸屈指のビッグターミナルである新神戸駅や三宮駅などから、徒歩で10分程度という立地の良さが自慢です。
また、介護付き有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護)に分類される施設ですが、サポートなくご生活できるうちは自立型に入居し、サポートが必要になってからは介護型へ住み替えができるフレキシビリティも大きな特徴といえるでしょう。
今回、介護職として15年以上のキャリアをもち、現在はケアリーダーとして活躍する石田篤さん、オープニングスタッフとして配属され、現在は事業所長としてスタッフを導く島尾侍道(ひとみち)さんに、施設の特徴や魅力、運営にあたっての思いなどを語っていただきました。
食欲が沸く工夫がなされた食事が人気
炊き立てご飯や焼き立てパンの香りがフロアに漂う
お食事はご入居者の方にとって日常の楽しみの1つですが、どのような工夫をされていますか?
私が担当するケアフロア(介護型居室)では、開放されたリビングで炊飯し、お味噌汁などを温めて提供しています。ご飯が炊ける時の湯気や匂いが漂ってくるので、「今日は筍ごはんだね」というように、食事ができるまでの時間も楽しんでいただいています。
若い年代にとって、お腹が空くという感覚は当たり前のものですが、ご高齢になるほど空腹を感じづらくなりますので、しっかりお腹を空かせていただくための配慮でもあります。
匂いを届けたくて介護フロアで炊飯をおこなっているというのは初めて伺いました!
ありがとうございます。朝食は和食と洋食から選べるのですが、あらかじめご希望を伺っておいて、ご飯と同じく、パンもその場で焼き立てをお出ししています。
普段提供されている食事のなかで人気のメニューはどのようなものですか?
ご年齢もあるのか、やはりお魚をメインとしたメニューを好まれる方が多いですね。 献立は、フードリーダーが厨房スタッフと相談して決定します。
介護の視点から判断して、通常メニューの提供が難しい場合は、代わりのものを検討して提供しています。
ちなみに食事はスタッフもいただきますが、すごく美味しいです(嬉)。
ご入居者の方の好みには、どのように対応されていますか?
体調を崩される原因になりかねないため、アレルギー対応は当然おこなっていますね。ご入居者様の好き嫌いについても、スタッフが把握しています。
七夕など四季折々に提供される特別食やスペシャルディナー
イベント食のような食事もあるのでしょうか?
はい。私たちは「特別食」や「スペシャルディナー」と呼んでいます。
フードリーダーや厨房スタッフと事前に打ち合わせをして、最近では7月7日の七夕にお出ししました。
盛り上がるイベントは「誕生日会」
食事にいろいろな工夫をされていて、ご入居者様が笑顔で食事を楽しむ様子が浮かぶようでした!ほかにも、ご入居者様からご好評のイベントなどはありますか?
やはり誕生日会ですね。同じお誕生月の方が数名はいらっしゃるので、第4日曜日に開催しています。
誕生会では、バースデーソングを歌ったり、お祝いのケーキをお出ししたりすると、わーっと盛り上がりますね。「美味しい」と喜んでいただけるので、私たちもとても嬉しいです。
身体機能維持のためのレクリエーションに注力
音楽療養コンテンツを用いた飽きのこない体操を実施
施設でおこなっている特徴的な活動はありますか?
そうですね、たとえば「健康王国(※)」という音楽療養コンテンツを使って、体を動かすレクリエーションなどをおこなっています。
テレビの画面を見ながら、映像どおりにカードを動かす体操のようなものがあり、スタッフがお声がけをしたり、フォローに入ったりして、できるだけ皆様にご参加いただくようにしています。
もちろん、運動が苦手な方や、体調によって「今日は休んでいたい」という方もいらっしゃいますので、無理にお誘いすることはありません。
(※)健康王国:カラオケでおなじみのジョイサウンドが提供する介護事業所向けの音楽療養コンテンツ。音楽体操や脳トレクイズなど、動画や音楽を用いて楽しいレクリエーションを展開できる。
「ここに来てよかった」と思える生活サポートを実践
ご入居者の平均年齢は80代、女性の方が多い
ご入居者様は、どのような方々が多いでしょうか?
年齢としては平均80代の方々で、女性の方が多いです。私たちは「生活リハ(ビリ)」と呼んでいますが、一緒に畳みものをする時は、すごく輝いていらっしゃいます。
ご入居者とのコミュニケーションは笑顔を重視
ご入居者様と日常的にコミュニケーションをとる時間は多いですか?
ご入居者とコミュニケーションを取る時間は比較的多い施設だと思います。ただ、同じスタッフが24時間ずっと勤務しているわけでもありません。ご入居者お一人おひとりとは限られた時間の中でしっかりコミュニケーションを取ることを意識しています。
たとえば、マスクはしていますが、目線を合わせたり、笑顔であることを忘れないようにしています。ご入居者が遠慮されてしまうことがありますので、忙しくバタバタしている様子は見せないないように心がけ、ご入居者には「笑顔」で接するように意識しています。
とあるご入居者に「ここに来てよかった。一番は、あんたに会えたことやで」とおっしゃっていただいたことがあり、私のやりがいとしてとても心に残っている言葉です。
スタッフそれぞれの気遣いや努力が、ここに来てよかったと思っていただける環境につながっているのではないでしょうか。
ご本人様らしさが出せるように信頼を築く
ご入居者様との対話によって理解を深めていかれるんですね。
多くの方がブランシエール神戸北野は最後の生活の場になります。
「やっぱりここに来てよかった」「あなたに出会えてよかった」という言葉が聞けると、スタッフのやりがいにもつながってきます。
もちろん、ご家族にも「こちらの施設を選んでよかった」とおっしゃっていただけるよう、日頃からコミュニケーションをとらせていただいています。
私たちもそうですが、新しい場に来た時は、どうしても緊張しますし、無口にもなりますよね。
入居当初から素は出せないとしても、コミュニケーションをとって、信頼を得て、だんだん本来のその方らしさを取り戻していっていただけるよう、私たちも一丸となって努めています。
施設のコンセプトは「より豊かに楽しむ人生を」
メリハリのある介護サービス
スタッフさんの熱心さや心温まるエピソードも伺いましたが、事業所長の島尾さんはどのような思いで施設を運営されていますか?
介護スタッフはどうしても目の前のご入居者のことが第一になるため、スタッフのケアへの思いが必ずしもご家族の思いと一致しないこともあります。 私たちの事業所は、人員が手厚いほうだと思いますが、その“手厚さ”感は外の方に伝わりにくい部分があります。
手厚い人員でも、出来ること、出来ないことがあります。ならばできることを一層高めたいと考えています。
例えば今から10分だけAさんに集中して手厚い介護をして、豊かな時間を過ごしてもらおう、というもの。そして10分が過ぎたら次の方…と、全体的に何かをするというより、1日のなかでコアな時間帯を作って、濃淡をつけたサービスを提供したいと思いました。 そうする生活にメリハリが出て、ご入居者も記憶としてインパクトが残ると思います。
メリハリのある介護というのはいいですね。
事業所が「より豊かに楽しむ人生を神戸北野で」というコンセプトでここまでやってきました。「28名」という目の届く範囲のご入居者に対して、できることは意識して対応するというのが、他社にはない魅力かなと思います。
神戸YMCAとの連携によって多彩な交流の場を創出
当施設は、神戸YMCA(※)と連携していますが、ご入居者が神戸YMCAのチャペルでのコーラスなど、いろいろな活動に参加できるということも、この施設の大きなメリットだと思います。
神戸YMCAには日本語学科があって、臨時のボランティア講師を募集することがありました。ご入居者のなかには、日本語を学びに来ている学生さん向けの日本語講師として、ボランティア活動に参加された方もいらっしゃいました。 こうやって他世代交流と文化交流ができるんですよね。
神戸YMCAの学生や一般の方との交流の場として、7月にはふれあい寄席(落語)を開催しました。落語が日本文化だからということで、スタッフの知り合いの落語研究会の方にお願いして実現したものです。
10月にも神戸YMCAが主体となって秋祭りを計画しています。昨年から、一般のお客様のご来場も再開しました。 通常イベントの集客は難しく、ご家族の方が来てくれる程度ですが、この施設では神戸YMCAが集客してくださるので、大勢の方が集まります。
6階の庭園は、ご入居者がお花の手入れをして出さっています。かつて一軒家にお住まいだったご入居者がいらっしゃって、庭いじりや砂いじりができなくなるのは寂しいということで、こちらをご利用いただいています。
(※)神戸YMCA:YMCA(Young Men’s Christian Association)は、各国の青少年が国際交流活動等をおこない成長することを目的とした国際的青少年団体。神戸YMCAは1886年に設立され、兵庫県内の各地を拠点に活動している。
コアバリューに基づいたサービスを提供
研修により施設全体のレベルを底上げ
石田さんはブランシエール神戸北野に勤められて6年目ですが、職場としてはどんなところに魅力を感じますか?
特に福利厚生が充実しています。また、これまで勤めたところでは、あまり研修がなかったのですが、当施設は研修がしっかりしています。私は2023年の4月からリーダーを務めていますが、今でもリーダー研修があります。
研修は年次で段階的に分けられていて、1年次にかなり注力しますが、それ以降、研修がありますし、サブリーダー研修、事業所長の研修などもあります。
スタッフも安心感が得られる職場
コアバリュー(※)を高め、スタッフ全員が同じものを目指していくという方向性は素晴らしいですね。そこまでしっかり研修があると、定着率が高そうです。
研修でいろいろ学んだことを持ち帰って、「うちの事業所でもやろう」という流れにしやすいので、働きやすいと思います。 ほかの事業所のスタッフとも交流ができるので、「自分は1人じゃない。もし何かあったらちょっと聞いてみよう」と思える安心感があるのも大きいですね。
(※)コアバリュー:企業や法人が経営する中で重要視している価値観のこと。従業員の働き方や考え方の基本となる。
自立型と介護型を併設することで、ご入居者の生活スタイルが選べる
島尾さんは2017年4月開設時からのスタッフで、2022年11月に事業所長にご就任されました。事業所長として、こちらの魅力は?
圧倒的な知名度をもっている神戸YMCAと建物が一緒というのは大きな魅力といえるのではないでしょうか。立地を尋ねられた時に「場所は神戸YMCAと一緒」というのは、施設の認知度向上にプラスになっているかと。
あとは、自立と介護の併設型の施設であること。お元気な状態では自立のお部屋を選んでいただいて、将来介護が必要になったら住み替えができるというのは、大きな特色だと思っています。
ご入居者の楽しみを増やしていける施設に
ご入居者の要望にしっかり耳を傾ける
最後に、改めてブランシエール神戸北野の魅力を教えてください。
ご入居者に1つでも多く楽しみを増やしていただくためにできることは、まだまだあると思っています。
「こういうことがしてみたい」というご要望があれば、遠慮なくお伝えください。 すべてはかなえられないとしても、そのご要望に対する結果は報告させていただきますし、ご入居者が楽しく暮らせる生活の場にしていきたいと考えています。