80歳女性、圧迫骨折と認知症で要介護2「老人ホーム」入居も本当の後悔の理由

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最近の老人ホームは、自宅で過ごすよりも快適に暮らせると知った70代女性。早速、自分にとっての終の棲家を探し始めましたが、80歳になった今、実際に入居したのは想像とはまったく違った場所でした。いったいなぜ、思い通りの場所へ移り住むことができなかったのか。老人ホーム選びの落とし穴とも言えるエピソードです。

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【著名人の住む、高級老人ホームに憧れて】

現在80歳の宇佐見サナエさんが老人ホームへの入居を考え始めたのは、夫を亡くした77歳のときでした。きっかけは何気なく見ていたテレビの対談番組。第一線を退いた著名人が老人ホームに入居し、悠々自適な生活を送っているという内容で、リゾートホテルのようなホーム内の写真や動画が映し出されていました。

それまでの宇佐見さんは、老後は2人の息子とそのお嫁さんに世話になるのだろうなと何となく想像していました。しかし、心のどこかで家族に任せることに不安を感じていたのも事実です。テレビで紹介されていた老人ホームでは元気なうちは好きなことをして過ごし、体の自由が利かなくなったり病気になったりしたときには、敷地内にある施設で看護師さんや介護士さんによるプロの手厚いサポートを受けられる仕組みになっていました。

【館内の設備はもちろん、サークル活動の充実も魅力】

夫を亡くしたショックでしばらく外出もままならなかった宇佐見さんですが、翌日から老人ホームを探してみようという気持ちになりました。テレビで紹介されていた著名人やほかの入居者たちは、誰もが生き生きと見えたからです。

館内にはスポーツジムやヘアサロン、エステルーム、温泉、プール、マッサージサービスなど日々を快適に過ごすための施設やサービスも充実していました。宇佐見さんは音大卒でピアノや合唱を今も趣味にしていますが、楽器演奏や合唱、カラオケなどのサークルも複数用意されていました。立地が都心ということもあり、週に一度は外出をしてショッピングやランチを楽しむ様子も映し出されており、同じような生活を夢見て老人ホームを探す決意をしたのです。

手始めに数週間分の新聞をめくっていくと、老人ホームの広告がいくつも出てきました。「来春オープン」や「第二次募集」などの文字が飛び込んできます。どうやら新しいホームが次々と建っているようです。

【音楽室や温泉など、外せない条件がいくつもあった】

広告だけでは実情はわかりません。そこで気になった老人ホームに問い合わせをしてみると見学会への参加を勧められました。一人で参加する勇気が持てず、10歳年下の妹に同行してもらうように頼み、いよいよ見学会当日を迎えました。

自宅からは電車で15分ほど。駅までは送迎の車が来てくれました。築5年の老人ホームですが、敷地内に新たな棟が立つ予定で入居者を募集しているそうです。見学できるのは現在も入居者が生活している棟でした。

見学用に用意されているモデルルームは30平米ほど。一人暮らしなら十分な広さです。法律では13平米、約7畳が最低ラインと説明があり、倍以上の広さがあることに感動しました。ただ、館内の設備はスポーツジムと共同浴場、麻雀ルーム、カラオケルームのみ。テレビで見たような温泉やエステルーム、楽器演奏のできる部屋がほしいと感じました。新しい棟にも温泉はないということで1軒目は落第点でした。

【広い居室、眺望も大切……と、希望はどんどん増えていく】

その後も、宇佐見さんの老人ホーム見学は続きました。3軒までは妹がつきあってくれましたが、以降は一人で参加しました。宇佐見さんが老人ホームを探していることを知った次男が、インターネットで調べた老人ホームのホームページをプリントアウトして送ってきてくれるので、その中からピックアップして見学の申し込みをしていきます。

しかしどこも「帯に短し、襷に長し」ではありませんが、宇佐見さんの心にぴったりとマッチしません。設備が良ければ場所が子どもたちの住まいから遠かったり、居室のレイアウトが気に入らなかったり。入居金が恐ろしいほど高くて諦めたところもありました。

80平米を超える居室を見てしまうと、45平米では狭く感じてしまいますし、海の見える部屋を見学してしまうとタワーマンションタイプは無機質に思えたり……見れば見るほど、条件が増えてしまい、なかなか契約に至りません。

【突然の骨折から要介護認定。自立型のホームには入居できなくなった】

2ヵ月に1回ほどのペースで15以上の老人ホームを見学し、「まるで趣味だね」と次男に笑われていましたが、80歳になって間もなく、見学がかなわなくなってしまいました。くしゃみをした衝撃で背骨を圧迫骨折してしまったのです。1ヵ月間入院し安静にしていたところ、足腰が弱り、ほぼ一人では歩けない状態。しかも認知機能にも少し衰えが見られるようになってしまいました。

そして、医師からは一人暮らしは無理と断言され、退院と同時に施設に入居しなければならなくなったのです。これまでに見て回った施設の中で気に入っていた数件を息子たちに伝えましたが、いずれも入居時の条件は「自立していること」で、ほぼ車いす生活で要介護2の認定と判定された宇佐見さんは入居できないという回答でした。

入院できる期間は限られており、結局は長男が見つけてきた介護付き有料老人ホームへの入居が決まりました。

【ほぼプライベートのない生活に愕然。もっと早く入居しておくべきだった】

入居している人たちは介護度が高く、重度の認知症の人も多くいました。それが悪いというわけでは決してないのですが、今後に夢を馳せていた宇佐見さんにとっては180度違った展開になってしまったのです。

宇佐見さんの部屋は個室ではあるものの、7畳程度の空間に介護用ベッドと収容家具、そしてテレビだけの簡素なもの。トイレは自室にありますが、お風呂は補助が必要なので共有の場を使います。

さらに介護度の高い入居者が多いため、転倒などを発見しやすいようにと開け放しのスタイル。そのためプライバシーがないと感じることもしばしばだといいます。

スタッフの人数が多く手厚い介護体制が整っている施設であれば開け放しはなく、安心して個々の生活を送れたかもしれません。

老人ホーム選びでは比較検討をすることは大切ですが、いつ何が起こるかわかりません。老人ホーム選びのお手伝いをしていると、宇佐見さんのようなケースは決して少数派ではないのです。入居までの期限を決めてから検討に入ることが重要です。

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このページの監修者
脇 俊介

株式会社プランドゥ代表取締役 兼「MY介護の広場 老人ホームを探す」統括マネジャー。
2004年にグループ会社の株式会社パセリ入社以来、営業部門にて「スクール検索サイト BrushUP学び」のコンサルティング営業、制作ディレクター、グループマネジャーを歴任。2014年からは新事業部「メディケア事業部」のマネジャーとして、明治安田システム・テクノロジー株式会社との業務提携をおこない、介護施設WEB検索コンテンツ「MY介護の広場 老人ホームを探す」サービスを開始。
現在は取締役代表業務と兼任し、入居相談員として相談者のサポートをおこなう一方、老人ホーム関連の講演活動にも精力的に取り組んでいる。

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