従来、老人ホームといえば日常的に介護サポートが必要になってから入居する場所という概念がありました。
しかし昨今では、元気なうちに入居を検討する方が増えており、特に高級老人ホームは、元気な方が入居される例が多い傾向です。
この記事では、なぜ元気なうちから入居希望する方が増えているのかという理由と、自立している高齢者が高級老人ホームに入居するメリットなどを紹介します。
将来の生活に不安を感じ始めている方や高齢のご両親が心配なご家族の方は、ぜひ参考にしてください。
元気なうちに老人ホームへの入居を考える人が増えている理由
自立しているものの将来に不安を抱えている
元気なうちから老人ホームへ入ることを検討している方が増加している理由はいくつかあります。
筆頭ともいえる理由が、現在は元気で自立した生活を送っているが、将来に不安を抱えているということでしょう。
今のところは何一つ不自由なく生活している高齢者でも、何かしらのきっかけで体が思うように動かなくなることに不安を抱えている方は少なくありません。
体力の衰えから日々の家事や身支度を一人で続けられるのか、心配になってしまうこともあるでしょう。
特に、単身の高齢者は緊急時に助けを呼べない不安から、施設暮らしを検討するケースがあります。
老人ホームであれば、24時間介護スタッフが在籍しているため、生活サポートはもちろん、緊急時のサポートも期待できるでしょう。
配偶者に先立たれた
長年連れ添ったパートナーが旅立ち、一人暮らしに寂しさを感じたタイミングで老人ホームへの入居を検討する場合もあるでしょう。
身体の元気さに関係なく、将来への漠然とした不安が施設探しの第一歩となるケースは少なくありません。
高齢の親が心配
家族が高齢の親を心配して老人ホームへの入居を検討するケースも多々あります。
特に、家族が離れて住んでいる場合や、仕事などで忙しく頻繁に顔を合わせられない場合、親の施設入居を検討することが多いようです。
介護の必要がない状態でも、軽度の物忘れ、ちょっとした段差でつまづきやすくなったなど、高齢の親だけで生活させるのは不安になるものです。
子どもや孫の意見を尊重し、施設に入居する高齢者も増えてきています。
自宅の修繕が必要
住み慣れた自宅で暮らし続けたいと考えていても、自宅の老朽化に伴い、老人ホームへの入居を検討し始める方もいます。
自宅の修繕には多大な費用がかかるのは、想像に難くありません。老人ホームに入居する費用と比較し、元気なうちに施設に入居する方は一定数いらっしゃいます。
また、自宅がバリアフリーに対応していないという方も多いでしょう。将来、体が思うように動かなくなったり、介護が必要になったりした場合、段差が多い、車いすが十分に通れるスペースがないという状態は、たちまち生活を困難にします。
自宅をバリアフリー仕様にするのであれば、老人ホームに入居した方が早いと考える方も少なくありません。
将来に備え、元気なうちに自分で施設を検討したい
元気なうちから将来への備えとして、老人ホームへの入居を考える方も比較的多い傾向です。
体が不自由になってから家族が決めた老人ホームに入るのではなく、元気なうちに、自分の目で確かめて、気に入った施設に入居したいという気持ちは大事にすべきことでしょう。
なかには、家族に介護の負担を強いたくない思いから入居を決断される方もいます。
また、元気なうちに施設選びを始めると、施設に直接足を運び、しっかり見学してから検討することができますので、失敗の少ない入居が可能になるでしょう。
何歳から老人ホームへの入居を検討し始める人が多い?
老人ホームに需要を見出す年齢は人それぞれですが、80代後半で本格的に入居を検討し始める方が多いといえるでしょう。
実際に、MY介護の広場・入居相談室が施設を紹介した事例では、老人ホーム入居者の平均年齢は86.7歳となっています。
多くの施設では入居対象者の年齢を60歳または65歳以上としていますが、心身ともに元気な70代くらいまでは住み慣れた自宅で生活し、緊急時の対応などに不安を覚える80代で入居開始する方が多いという傾向が伺えます。
元気なうちに老人ホームに入居するメリットは?
新たな生活環境に早く馴染める
元気なうちに老人ホームへ入るメリットは複数あります。
まず、最大のポイントは、新たな生活環境に早く馴染めるということでしょう。
生活に支障をきたすようになってから入居するよりも、施設の人間関係や雰囲気に早く馴染めることが期待できます。
精神的にも肉体的にも自立しているうちに入居した方が負担が少ないのは言うまでもありません。
また、元気で自立した高齢者を受け入れている施設は、個々の生活スタイルを尊重してくれるケースが多くあります。
そのような施設に入居すれば、プライベートな時間も確保しながらメリハリある生活を送れるでしょう。
安心感を得られる
本人・家族どちらも安心感を得られるように、早い段階で老人ホームに入居される方も多くいらっしゃいます。
例えば、介護に限らず、災害などの緊急事態が発生した場合、いくら自立していても高齢者が一人で避難するのはハードルが高くなるでしょう。
施設に入居していると、職員の手助けを得ながら安全な場所に避難できます。
このように、いざという時のためにも、元気なうちから施設に入居しておくことは大きなメリットであるといえます。
栄養バランスの整った食事を摂れる
老人ホームに入居すると、基本的に1日3食の食事が提供されます。
高齢になると買物や食事の準備が面倒で食事を抜いたり、インスタント食品で済ませたりする方もいるでしょう。
その点、老人ホームであれば、管理栄養士がメニューを考えた食事が提供されます。必然的に栄養バランスの優れた食事を摂取できるのはメリットといえるでしょう。
健康な体はバランスの取れた食生活からと言われるように、健康寿命を伸ばすためにも食事内容は重要です。
なお、高級老人ホームでは有名シェフ監修のメニューや、四季折々の料理などが提供されるため、毎日の食事を楽しみに入居する方もいらっしゃいます。
また、時々自炊もしたいという場合は、居室にキッチンを備えた施設を探してみましょう。
高級老人ホームでは居室にキッチンスペースのある施設も多く、朝・夕はレストランで食事、昼食は自分で作るといったことも可能です。
生活・医療のサポートが早めに受けられる
体調がすぐれない、体が動かしにくくなってきた……など、いざという時の生活支援をおこなってくれるのが老人ホームです。
老人ホームの多くは介護サポートを実施しているほか、医療機関と提携しており、医師や看護師が入居者の体調を管理しています。
そのため、元気なうちから施設に入居していると、ちょっとした体調の変化に気づきやすく、早めのサポートを受けられるでしょう。
なお、高級老人ホームは、一般的な老人ホームより看護師や介護士の人員を多めに配置しています。
より細やかな要望に対応してもらえるなど、手厚い生活サポートを受けられるのが特徴です。
趣味やレクリエーションなど、生活に活気が出る
外出が億劫になり、自宅にこもりがちになる高齢者は一定数います。
単身または夫婦だけで過ごす高齢者は、周りとのかかわりも疎くなりやすく、メリハリのない、ただ毎日をやり過ごすだけの生活になることも多いでしょう。
また、身体を動かさなくなることで、足腰が弱ったり、認知症になったりするおそれもあります。
元気なうちに老人ホームへ入居すると、施設が実施しているサークル活動やレクリエーションなどのあらゆるイベントに参加できるようになります。
新しい趣味を見つけたり、趣味の時間を通して気の合う入居者が友人になったりなど、生活に活気が出てくることでしょう。
体力増進や気分の若返りも図れるため、健康寿命の延伸にもつながるはずです。
一人で自宅にこもっているのと、施設でさまざまな人と交流しながら暮らすのとでは、生活の質が大きく異なってくるでしょう。
元気な方には高級老人ホームがおすすめ
質が高く、飽きのこない生活が送れる
高級老人ホームに入居するメリットは、質の高い生活を送れる点にあります。
建物に高級感があり、インテリアにもこだわっているため、その空間にいるだけで優雅な雰囲気を味わえるでしょう。
さらに、高齢者に人気のあるジムや温泉、図書室、アトリエ、娯楽室などの設備が整っているため、自由時間を満喫できます。
著名人を招いた講演会やサークル活動など刺激的な催しもあるため、退屈することがないでしょう。
そして、これらの設備・イベントを思う存分楽しめるのは、元気なうちに入居するからこそといえます。
また、高級老人ホームはスタッフの質も高いことが特徴です。
スタッフは、おもてなしなどマナー研修を受けている施設も多く、気持ちの良い対応を期待できるでしょう。
楽しく、ゆとりある生活を送れるのが高級老人ホームに入居するメリットです。
元気な方が入居できる高級老人ホームとは?
自立で入居後、介護が必要になってもそのままケアが受けられる
介護が必要になっても安心できる高級老人ホーム
高級老人ホームの施設の種類には、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などがあります。
高級老人ホームが一般的な老人ホームと異なるのは、基本的に自立の状態から入居し、介護が必要になってもそのままケアを受けられるシステムが用意された施設が多い点といえるでしょう。
例えば、一般的な介護付き有料老人ホームは、介護専用型と呼ばれる施設が多く、施設によっては要介護の認定を受けた方しか入居できないといったケースが多く見られます。
しかし、高級タイプの介護付き有料老人ホームには、自立の方、介護が必要な方双方を受け入れられる混合型施設があります。
将来介護が必要になっても、転居することなくそのまま介護を受けられるケースもあることがポイントでしょう。
なお、入居条件等については、施設により異なるため、詳細情報を知りたい方は、お気軽にMY介護の広場・入居相談室までお問い合わせください。
元気なうちに入れる高級老人ホームを選ぶ際のポイント
心身ともに元気な方が高級老人ホームに入居する場合、自由度が高い施設なのか確認する必要があります。
万が一、規則が厳しい施設に入居してしまうと日常生活にストレスを感じ、転居したくなる可能性もあるでしょう。
施設選びのポイントを以下に紹介しますので、確認してみましょう。
費用および費用の支払い方法について
入居時の年齢や身体状況加味した上で、費用面について検討しましょう。
高級老人ホームに多く見られる価格帯は以下となります。
【入居一時金】
1,000万〜5,000万円程度
【月額利用料】
20万〜50万円程度
月額利用料は、入居期間が長くなるほどかさみます。
終身での利用を検討している場合は平均寿命などを参考に、継続して支払い続けられる料金なのか確認するのがポイントです。
また、入居一時金については支払い方法が選べる場合があり、入居時に全額支払うのか、それとも月々の利用料に上乗せして支払うのかなどの検討が必要です。
生活環境について
充実した余生を過ごすためにも、生活環境についてのチェックが重要なポイントです。
特に下記の項目について抜け漏れなく確認するようにしましょう。
- 施設の雰囲気
- 入居者層
- スタッフの対応
- 共有スペースや共有の設備
- 居住スペース(広さ、設備等)
- 施設での過ごし方に関するルール
- サークル活動などイベント
これらのチェックポイントに従って確認し、一番好印象を抱いた施設へ入居するのがおすすめです。
入居を検討した際に、生活が楽しくなるような施設を選ぶのが失敗しない老人ホーム探しのポイントです。
必要なサービスを受けられるか
元気なうちから施設への入居を検討する場合、将来的に必要になり得るサポートをすべて受けられるのか確認しましょう。
また安心して生活するためにも、看護師や医師が在籍しているのか、どの程度の医療サポートを受けられるのかといった確認も大切です。
体調不良時の診療・看護体制、点滴や服薬の管理などについてチェックするとよいでしょう。
家族と面会しやすいか
家族や友人が定期的に面会に訪れる予定がある場合、施設はアクセスしやすい立地にあるのかということも重要ポイントとなります。
面会者が足を運びやすい施設を選ぶとよいでしょう。
また、面会時間や面会できる場所についても確認が必要です。
面会場所として共有スペースを使用する場合には、事前予約が必要なケースも少なくありません。
面会に関するルールをチェックしておくのもポイントです。
元気なうちから老人ホームへの入居を検討して健康寿命を伸ばそう
日常生活に支障をきたしていない段階で老人ホームに入居すると、健康寿命を伸ばすことに集中できます。
特に高級老人ホームと呼ばれる施設であれば、理学療法士や作業療法士による健康指導を受けられるため、身体機能の維持が期待できるでしょう。
健康で元気な高齢者が増えている昨今。充実したシニアライフを送るためにも、老人ホームへの入居を検討してみてはいかがでしょうか。
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