有料老人ホームや介護施設でかかるおむつ代はいくら?助成制度と医療費控除について解説
- 老人ホームでかかるお金のデータ
- 2024/12/16
歩行が困難であったり、寝たきりであったりする、介護が必要な高齢者の必需品が「紙おむつ」。老人ホームの種類によっておむつ代がかかる施設とかからない施設があるのをご存知でしょうか?
この記事では、「MY介護の広場・老人ホームを探す」が、おむつの使用量や費用の平均を独自調査しているほか、おむつ代を軽減できる自治体の助成制度や医療費控除について詳しく解説しています。
- 高齢者のおむつ事情
- 高齢者紙おむつの価格について
- 有料老人ホームや介護施設でのおむつ代について
- おむつが介護保険適用になる介護施設
- おむつ代が自己負担となる介護施設
- おむつ代の負担を軽減する方法
- 自治体の助成制度を活用する
- 条件を満たせば医療費控除の対象になる
- おむつ代も含めた老人ホーム費用を相談したい方へ
高齢者のおむつ事情
寝たきりなど歩行や立位の体勢が取れない高齢者は、サポートがあってもトイレで用を足すのが難しく、介護施設においてもおむつを着用します。
おむつの使用は実際にどういった状況か、交換頻度や費用の平均などを以下に解説していきましょう。
おむつの交換頻度
常時おむつを着用している高齢者の場合、多くの介護施設では1日に4~7回おむつの交換をおこなっています。
毎回おむつを交換すると、月120枚~210枚ものおむつが必要となる計算です。
参考文献:松永美輝恵(新見公立短期大学) 井関智美(特別養護老人ホーム生き活き館神郷)田内雅規(岡山県立大学),施設の寝たきり高齢者に対するおむつ交換タイミングの検討,LIFE2014 2014 年 9 月 24 日-26 日 北海道
おむつ以外に尿とりパッドも多用される
毎回おむつを新しいものに交換していると、枚数も費用も多くかさんでしまうため、尿とりパッドを併用するケースがほとんどでしょう。
排尿のみの場合は尿とりパッドを交換、排便があったりおむつが汚れていたりする場合は、おむつごと交換となります。
高齢者紙おむつの吸水量について
成人の正常な排尿量は1日1,000~1,500ml、1回あたり100~150mlの量を1日8~10回に分けて排せつしています。
大人用紙おむつの吸収量は、1回の排尿量を150mlと想定し、1枚の紙おむつで2~4回分の尿を吸収できる仕様となっています。
尿とりパッドも同様ですが、夜用タイプだと最大12回の尿を吸収するというパッドもあります。
参考文献:須藤 紀子,第 54 回日本老年医学会学術集会記録 高齢者の排尿・排便障害,日老医誌,2012;49:582―585
高齢者紙おむつの価格について
「MY介護の広場・老人ホームを探す」が大人用紙おむつ販売メーカー5社の商品価格を調査したところ、おむつ・尿とりパッドの1枚あたりの費用は以下という結果が出ました(※)。
1枚あたり…129円
・紙おむつ(パンツタイプ)
1枚あたり…80円
・テープタイプ用尿とりパッド
1枚あたり…46円
・パンツタイプ用尿とりパッド
1枚あたり…33円
※大人用紙おむつ販売メーカー5社の公式通販サイトにおける、テープタイプ紙おむつ4~5回吸収(Mサイズ)、パンツタイプ紙おむつ2回吸収(Mサイズ)、テープタイプ用尿とりパッド4回吸収、パンツタイプ用尿とりパッド2回吸収の商品販売価格から、それぞれ1枚あたりの平均費用を算出。
【▶Amazon】高齢者用 紙おむつ一覧
高齢者の紙おむつ代平均費用
高齢者のおむつ代の月平均はどの程度になるでしょうか?
近年の物価高の影響で、紙製品は5~20%の値上げがなされたこともあり、紙おむつの金額も上昇傾向です。
おむつの交換頻度や使用量は個人差がありますが、パンツタイプのおむつを使用している場合は月1万円程度、テープタイプのおむつを使用している場合は月2万円程度が費用相場となるでしょう。
有料老人ホームや介護施設でのおむつ代について
おむつ代は自己負担になる施設とならない施設がある
介護施設で使用するおむつの費用は、自己負担になる施設とならない施設があり、自己負担になるかは施設の種類によって異なります。違いはおむつが介護保険に適用されるかどうかです。
おむつが介護保険適用になる介護施設
使用するおむつが介護保険適用される施設は以下の3つです。
・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
・介護老人保健施設(老健)
・介護医療院
介護保険施設はおむつ代がかからない
上記の介護施設はすべて介護保険施設で、要介護1〜5の要介護認定を受けている方、特別養護老人ホームは原則要介護3以上の方のみ入所可能です。
日常生活支援の一環として排せつ介助や必要なおむつは介護保険が適用となるため、個人負担がかかりません。
おむつ代が自己負担となる介護施設
介護保険施設を除く以下施設は、おむつが介護保険適用外です。
・介護付き有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅
・高齢者向け賃貸住宅ム
・認知症グループホーム
・軽費老人ホーム(ケアハウス)
有料老人ホームなどはおむつ代自己負担
主に民間の企業が運営する老人ホームは、おむつ代は入居者の自己負担になります。
施設に用意してあるおむつから使用分を入居者に請求、または入居者自身がおむつを用意することで費用を支払います。
おむつ代の負担を軽減する方法
おむつ代は意外と高額になるため、自己負担の場合、費用を抑えたいと考える方は多いでしょう。
負担を軽減する方法には、自治体の助成制度の活用と医療費控除の申請があります。
自治体の助成制度を活用する
各市区町村において、おむつの負担を軽減する助成制度を設けています。
助成内容としては、おむつの現物支給または購入費の助成があり、現物支給の自治体が多い傾向です。
ただし、在宅介護を受けている方のみを対象とする自治体や、おむつ助成制度のない自治体もあるため、確認が必要です。
自治体の助成制度の例
おむつの助成制度は、市区町村によって異なります。東京都内3つの自治体を例に、支給方法や利用条件などを紹介します。
東京都世田谷区【紙おむつ支給事業】
【助成内容】
・自治体が用意するカタログから選択したおむつを現物支給
・選べる商品は点数制度(1点=100円)となり、月合計40点までの利用が可能(超過分自己負担)
・月500円の負担金あり
【利用条件】
・世田谷区に住所がある
・65歳以上
・要介護3以上
・寝たきりかつ失禁があって2ヶ月以上おむつを使用し、今後もおむつが必要
・介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)に入居していない
世田谷区では、カタログから選んだおむつや尿取りパッドなどを、月に1回自宅に配達する助成制度があります。身体状態や使用感に合わせ、利用者自身で製品を組み合わせることが可能です。
出典:世田谷区公式ホームページ 紙おむつの支給・助成
調布市【紙おむつの給付】
【助成内容】
・自治体指定おむつを現物で無料支給(月1回)
・おむつと尿取りパッドの組み合わせ表から、限度数の範囲内で選択
【利用条件】
・市の住民基本台帳に記録があり、市内に居住している
・失禁状態にあるなど常時おむつの着用が必要な要介護3以上の方(要支援2、要介護1~2の方は医師の意見書により利用できる場合あり)
・介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)に入居していない
・その他のおむつ給付制度を利用していない
調布市の高齢者紙おむつ給付は、自治体指定でおむつの種類と利用限度数の組み合わせをパターン化。利用者はその組み合わせの中から、パターンと個数を選択します。
出典:調布市ホームページ 紙おむつの給付
東村山市【要介護高齢者紙おむつ購入費助成】
【助成内容】
・おむつ購入費の相当額を翌年に現金支給
・1年の上限2万4千円
【利用条件】
・東村山市に住所がある
・65歳以上
・要介護3以上で、日常生活上紙おむつの着用が必要
・当該年度の市町村民税が非課税
・生活保護を受けていない
・特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、経費老人ホーム、養護老人ホームなど、国や自治体が負担運営をする施設に入居していない
東村山市の助成制度は、1年間に使用したおむつ代を翌年1月に申請すると、費用相当額が銀行口座に振り込まれます。費用はあとからの受け取りとなるため、おむつ代はいったん自費で立て替える必要があります。
出典:東村山市ホームページ 要介護高齢者紙おむつ購入費助成
条件を満たせば医療費控除の対象になる
高齢者が使用するおむつ代は、条件を満たしていれば医療費控除対象になる費用です。以下に適用条件や申請方法を紹介します。
おむつ代の医療費控除を受けられる条件
おむつの医療費控除を受けられる条件は以下のとおりです。
【医療費控除の基本条件】
・本人や家族の医療費自己負担額が年間10万円以上
・本人または家族が納税している
【おむつの医療費控除を受ける追加条件】
・傷病により概ね6ヶ月以上寝たきりの状態
・医師の診断のもと、おむつの使用が必要と認められる
・要介護・要支援認定を受けている
【申請できる人】
本人、家族、成年後見人など
【対象となるおむつの種類】
・紙おむつ(平判、テープ止め、パンツ型など)
・尿取りパッド
なお、おむつの医療費控除対象となる身体的条件は、具体的な診断基準があります。詳しくは各自治体の保健福祉課や税務署の窓口に確認しましょう。
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